新人社員だったころ

４月、５月は電車や街中でも新入社員って見分けがつくのに、夏になるころにはすっかり溶け込んでわからなくなるのってすごいですよね。そんな頃よく、自分の当時を思い起こします。社会人になって初めての会社の編集部は、結構あくの強い面々でした。部トップのおじさん2人の机の下にはウィスキーや焼酎の瓶が常備。出社したらいびきがきこえて、酔っぱらってる編集長が床で就寝中。仕事をしてるところを見せたくないから日中はぶらぶらしてる部長（でも夜はいつも酔っぱらってる）。編集部全員の机には灰皿が置かれていて、みんな白い煙をあげながら仕事。家が遠いからと１週間帰らないおじさん。映画好きの先輩はしょっちゅう消えて映画館へ。今では考えられない、自由すぎる編集部でした。そんな人たちに連れられて酒の味をおぼえ、人生初の二日酔いも間もなく経験。暑くなってきたころ、社長から呼び出しを受けました。「ちゃんとした洋服を買うお金がないなら貸すから。編集部のおっさんたちを見習ったらあかん」と注意され、編集部にすっかり染まっている自分に気づいた初夏の昼下がり。見逃せないぐらい新人らしからぬ格好だったんでしょう。人間、その場の環境になじむのなんて早いものなんですね。初々しい人たちの姿が消えるころ、「あー、私はなじめてたのかなぁ…、あっ、なじんでたな」と毎年思い至るこの頃です。

ワタヒキ