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百万回生きたねこのモデル

「佐野洋子はタバコが好きでした。ちょっと変だと思われるかもしれませんが献花ではなく献タバコにしてやってください。息子」絵本作家でありエッセイスト、佐野洋子さんのお別れの会のパネルに寄せた息子さんの言葉。佐野さんが亡くなって5年が過ぎたのですね。『100万回生きたねこ』『おじさんの傘』の絵本作家の展示会「まるごと佐野洋子展」を見に神奈川近代文学館へ行ってきました。一度、都内の書店でねこの原画を見たことがあるのですが、今回は原画から原稿、日記、写真、手紙など創作の背景まで、それこそまるごと展示されており、規模の大きさは想像以上でした。なかでも『100万回生きたねこ』のモデルになった佐野さんの飼いねこミーニャの写真は初めて見ました。そして佐野さんがそれほどねこが好きでなかったことも、それでもねこのしなやかな肢体の美しさに惹かれて描いたことも初めて知りました。焦げ茶、しろの色調、グリーンの目を持つ絵本の主人公は作家の創作上のねこだと思っていたのですが、写真のミーニャそっくりでした。キリリとした目つき、不敵な面構え、足が太く、りっぱなキジトラねこでした。絵本のねこは、女の子やおばあさんや王様に飼われて100万回死んだのですが、ついに誰のねこでもないりっぱなノラねこになります。絵本のこのあたりにくると読んでいるこちらの気持ちも高まり、声高らかに朗読したものでした。久しぶりに佐野さんの読み手の気持ちにストレートに刺してくる文に触れることができ、そして横浜の港まで見ることができていい休暇でした。

ワキヤマ

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