コラム

著書コラム

Quizでわかる化学
碧山 隆幸

写真:Quizでわかる化学

 みなさんにとって自然科学とはどのようなものなのでしょうか?
 私は自然科学は人類の壮大な「夢」の積み重ねであると思っています。人類は太古の昔から空を飛ぶことを夢見てきました。それがリリエンタールやライト兄弟を経て、現在ではほとんどの人が何の疑いもなく飛行機を普通に利用しています。さらに飛行機が発達して人類の空への夢は終焉を迎えたかというとそうではなく、さらに上空に広がる宇宙へと向かい、アポロ計画やスペースシャトルを経て、スペースコロニーや火星のテラ・フォーミング、宇宙ツアーを企画している旅行会社も現れるようになっています。一つの「夢」が叶ったら、そこからまた新しい「夢」が生まれる…。人類はそうやっていくつもの「夢」の頂を登り続け、その頂から見えた新しい「夢」の頂をまた登り続けることを繰り返してきたのです。頂には雲がかかっており、麓から頂の高さを推し量ることはできません。また、登りつめたときその頂から何が見えるのかは登ってみないとわかりません。そんな一見徒労に見えるような地道な気の遠くなる作業を、人類は長い歴史の中で好奇心だけを頼りに延々と繰り返してきたのです。その恩恵として、現在の私たちの豊かで便利な暮らしが成り立っているとも言えます。
 一昨年のことでしたか、テレビのインタビューである女性歌手が次のようなことを言っていました。「学校に行ってみんなで机を並べて勉強するなんて馬鹿みたい。そんな社会に反発して歌を歌っています」と。私はこの女性歌手の独特の歌は好きだったのですが、この発言を聞いたとたん不愉快な気分でいっぱいになりました。ではこの人はマイクに向かって歌を歌うとスピーカーから大きな音で流れる仕組みをわかっているのでしょうか?CDにどういった仕組みで録音できているかわかっているのでしょうか?そのような仕組みを作り上げているのは、その人が馬鹿の一言で片づけた、学校で机を並べて勉強してきた人なのです。今の日本はなぜか受験勉強を筆頭として、勉強することを頭ごなしに否定したがる風潮があるように感じます。そんな親のすねをかじりながら親の悪口を言うような底の浅い風潮は、見ていてかえって悲しくなるのですがみなさんはどうでしょうか?
 人類が学問を続けていくのは、私は一種の使命だと思っています。次の世代をより豊かで文化的にするために、私たちは今までの成果を確実に継承していかなくてはなりません。そうでないと、私たちの世代は先人の顔に泥を塗ってはばからない程度の人間の集まりだと言うことになってしまいます。戦争はそれまでの文化文明の蓄積を無に帰する点でも、人類に対する大きな犯罪です。しかし大げさかもしれませんが、学問を放棄することも同じようなものなのかもしれません。
 まずは小さな一歩から。人類が積み重ねてきた「夢」の一端を少しでも感じてもらえればと思います。

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2005年01月01日

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