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  • 編集部コラム

「映像の世紀」コンサート

皆さん「映像の世紀」を知っていますか?1995年から96年にかけて放送されたNHKスペシャルの名作です。この番組は映像が発明されて100周年を記念して制作されたものですが、近現代の歴史を当時の映像で辿る内容は、大学生だった自分を虜にしました。そしてこの番組が生み出したもうひとつの傑作は加古隆作曲のテーマ曲「パリは燃えているか」です。この曲の印象的なメロディーを聴くと、今でも人類の悲惨な歴史映像が思い浮かび、胸が締め付けられます。

先日、この「映像の世紀」の1日限りのコンサートが開催されました。番組で使われた曲を、加古隆さん(ピアノ)と岩村力指揮・日本フィルハーモニー交響楽団が演奏するというものです。しかもオーケストラのバックには巨大なスクリーンを配し、そこに「映像の世紀」を上映しながらナレーションを交えて演奏するのです。往年の「映像の世紀」ファンにとっては、生きていてよかった!と思える最高のプログラムでした。

厳かに演奏が始まると、スクリーンでは欲と戦争にまみれた人間の度し難い歴史が繰り広げられました。今回も人間の愚行を見ていてつらくなりましたが、コンサート終盤、2015年のパリ同時多発テロ後の映像が映し出されました。路上で目隠しをした男性が「私はイスラム教徒です。もし自分を信じてくれるなら何も言わずにハグしてほしい」と書かれた紙とともに両手を広げて立っていました。そこに次々と市民がやってきて彼を抱き締めていくのです。

思わず涙がこぼれました。人間は確かに救いがいほど愚かです。しかし、必ずどこかに希望の光が灯されているんですね。そして加古隆さんの「パリは燃えているか」も、人間の愚かさだけでなく、未来を拓く勇気も込められているように心に響いてきました。

モリ

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