コラム

ぶかぶかのベレー帽

「私の背中を見なさい」

コロナ禍の週末を注ぎ込み、アメリカのTVドラマ「Band of Brothers」を観ました。第二次世界大戦におけるアメリカ陸軍のある部隊の実話をもとにしたドラマです。情感を排した演出で、史実に基づく戦闘シーンと人間模様がリアルに描かれています。今回このドラマであらためて考えさせられたのは、上官の良し悪しで、いかに兵の士気や勝敗が左右されるかということでした。

部下は、上官の振る舞いを見て、命を預けて一緒に戦えるかを見抜きます。このドラマに登場するウィンターズ少佐に対して、部下たちは「常に先頭に立ち、危険な役目も自ら買って出る人だ」「優れたリーダーは部下をよく理解している」「彼の決断は常に正しい、真の軍人だ。上官の中にはあまり従いたくない人間もいたが、彼は最高だった」と評しています。ウィンターズは部下に慕われたようですが、指揮官は人柄が良いだけでは務まりません。指示を誤れば、兵を死に至らしめるからです。的確で迅速な判断力と行動力が求められるのは言うまでもありません。

舞台は異なりますが、北京オリンピックをキャプテンとして率いた澤穂希選手は、チームメイトに「苦しくなったときは、私の背中を見なさい」と声をかけたといいます。のちに澤選手は語っています。「苦しい時間帯はみんな同じなんです。だけど、その苦しい時こそ“私は最後まで諦めない。絶対に走り続ける”というキャプテンシーがありました。でも、言葉だけでは説得力がないですし、自分も口だけの先輩は嫌だと思うので、行動で示すために究極の時にこの言葉をかけました」。誰でもいえる言葉ではありません。その言葉の背後には、血の滲むような努力と強い責任感があったはずです。

さて、このコロナ禍で、政府、企業、学校…それぞれのリーダーはどう動いたでしょうか。“背中を見たい”と思える上官はどれだけいたでしょうか。私自身も管理職の端くれとして、背中を見せられるような仕事をしなければと思いました。

モリ

2020年08月04日

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