「将来」という熟語があります。「ショウライ」と読みます。これを漢文の規則で読むと「将(まさ)に来(きた)らんとす」となります。このように、私たちが何気なく使っている言葉には「漢文」の表現が多く含まれています。漢文を読む規則を知ると、漢字を使った語句の意味を正確に知るだけでなく、その語句を使った日本語の表現をみがくことにもなるのです。
送り仮名、返り点のない文章まで読めることを目指します。
書籍詳細
漢文が読めるようになる
漢文を愉しむ―そして、日本語を磨く

- 著者名
- 幸重敬郎
- ISBN
- 978-4-86064-188-7
- ページ数
- 232ページ
- サイズ
- A5判 並製
- 価格
- 定価1,760円 (本体1,600円+税10%)
- 発売日
- 2008年04月17日発売
品切れ
内容紹介
著者コメント
(「はじめに」より)
「漢文」と聞くと「かたい」とか「難しい」というイメージがあるようです。そういうイメージがあるのも、だれもが少しは漢文を学習したことがあるからでしょう。今でも中学や高校では国語の教科書の中に「漢文」があります。私は予備校で受験生を相手に「漢文」を教えています。それは大学入試にも「漢文」が出題されているからです。
このように「漢文」は学校教育や大学入試にもまだ残っています。なぜ残っているのでしょうか。残っているという表現はあまり適切ではないかもしれません。むしろ漢文は国語教育の中で必要とされていると言うべきでしょう。それは私たちが使っている今日の日本語が「漢文」の表現を数多く含んでいるからです。
(中略)
本書の最大の目的はまず「漢文」に親しんでもらうことです。漢文の読み方の基本から始めて、最後には送り仮名や返り点の付いていない文章(白文)にも挑戦してもらいます。「漢文」を読みながら、今の日本語における漢字の意味や用法を正しく理解し、さらに漢文を読む規則を知ることで、みなさんの日本語の表現をみがくことができればと思っています。
また、漢文の文章そのものも楽しんでください。漢文訓読の方法を知ると、今から二千年以上前に書かれた文章を読むことも可能です。メソポタミアの楔形文字やエジプトのヒエログリフを読もうと思ってもかなり専門的な知識と労力が必要ですが、漢文の場合は、私たちが漢字という文字を使っているおかげで少し努力すれば読むことが可能なのです。
さあ漢文を読みましょう。ぜひ声に出して漢文を読んでみてください。ただ目で見ているだけでなく、声に出して漢文を味わってください。
二〇〇八年四月幸重敬郎
著者プロフィール
幸重 敬郎 (ゆきしげ よしろう)
1963年大分市生まれ。愛媛大学法文学部卒業。
熊本大学大学院文学研究科修士課程修了。
専攻は中国史(宋元時代)。
1994年から予備校で漢文を教え始める。
1997年より河合塾講師。
漢文を明るく、楽しく、元気よく教えることを心がけている。
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