書籍詳細

はじめて読む日本語の歴史
うつりゆく音韻・文字・語彙・文法

はじめて読む日本語の歴史
著者名
沖森卓也
ISBN
978-4-86064-255-6
ページ数
336ページ
サイズ
A5並製
価格
定価2,160円 (本体2,000円+税8%)
発売日
2010年03月16日発売

ショッピングカートに入れる

内容紹介

日本語の歴史を知ることはどういうことでしょうか。漢字が伝わってくる前は日本に文字はなく無文字社会でした。それから漢字と出会い、日本語を書き表す場合に用いられたのは四世紀末から五世紀初め、漢字と日本語の付き合いはおよそ1600年になります。本書では、日本語はどのようにして生まれ、現代の言葉に変わったのか、日本語の移り変わりを時代背景とともに大きな流れでとらえながら、音韻・文字・語彙・文法を中心に解説しました。

著者コメント

(「はじめに」より)

 『源氏物語』桐壺の巻は「いづれのおほん時にか、女御・更衣あまたさぶらひけるなかに」という言葉で書き始められています。これを与謝野晶子は「どの天皇様の御代であったか、女御とか更衣とかいわれる後宮がおおぜいいた中に」というように訳しています。原文の「いづれの」を「どの」と訳したのは逐語的直訳的なものですが、それでは「いづれの」と「どの」とはどのような関係にあるのでしょうか。

 古典の最高峰ともいうべき『源氏物語』は、今からおよそ一〇〇〇年前ころの平安時代の日本語によって書かれたものです。しかし、それが「日本語」であることを疑う人はいないでしょう。古典はむずかしいと多くの人が言うように、両者が直接に連続しているなどとは思われないというのが率直な感想かもしれませんが、『源氏物語』の「日本語」と、現在私たちが使っている「日本語」とはすがた・かたちこそ異なるものの、間違いなく同一のものなのです。そこで、先ほどの問いに対する答えは、両者は同じ日本語の語彙における新古の言い方であり、その変遷の過程を記すと、「いづれ」が「いどれ」を経て「どれ」となり、「これ」が「の」をともなう場合に「この」ともなるように、「どれの」が「どの」というかたちをとるようになったということになります。

 古典語を現代語に訳すこと自体がこの両者の隔たりを象徴的に表していますが、私たちの先人たちがふつうにコミュニケーションの場においてずっと用いてきた日本語が、時の流れとともにようすを変えて今日に至っているのです。その意味で、古典語を理解するには、まずその変遷の過程を踏まえておくことが最良の手段であると言えます。また逆に、現代の言葉は古い日本語が変遷を遂げてきた結果のすがたでもあります。
すぐ前の言語体系を受け継いで「今」使った言葉は、その一瞬において過去の言葉になり、その積み重ねが歴史を形成していきます。したがって、現代日本語をより深く知るためには、その歴史を理解しておく必要があるのです。

 歴史は決して過去だけのものではありません。「今」を作り出す直接の源泉でもあります。私たちが日ごろ何気なく用いる日本語がどのように変遷してきたのか、どのような成り立ちを持っているのか、一度ゆっくり振り返ってみることにしましょう。

著者プロフィール

沖森卓也(おきもり たくや)

1952年、三重県生まれ。
現在、立教大学文学部教授。 博士(文学)。1975年、東京大学文学部第三類国語国文学専修課程卒業。1977年、同大学修士課程を修了し、東京大学文学部助手となる。その後白百合女子大学文学部専任講師・助教授を経て、1985年立教大学文学部助教授、1990年同大学教授となり、今日に至る。専攻は日本語学、特に日本語の歴史的研究。
著書に『日本古代の表記と文体』(2000 吉川弘文館)、『日本語の誕生━古代の文字と表記━』(2003 吉川弘文館)、『日本古代の文字と表記』(2009 吉川弘文館)、編著に『日本語史』(1989 桜楓社)、『資料日本語史』(1991 桜楓社)、『三省堂五十音引き漢和辞典』(2004 三省堂)、『図説 日本の辞書』(2008 おうふう)、共編著に『日本辞書辞典』(1996 おうふう)、『日本語表現法』(1998三省堂)、『ベネッセ表現読解国語辞典』(2003 ベネッセ)、『文字と古代日本』(2004 吉川弘文館)、『図解日本語』(2006 三省堂)などがある。

この書籍とオススメの組み合わせ

日本語の教科書
日本語の教科書
「文」「意味」「音」「語」「会話」―5つの文法のかたちを…
日本の漢字 1600年の歴史
日本の漢字 1600年の歴史
漢字伝来のドラマを東アジアの歴史とともに解き明かす。

書籍詳細検索

フリーワード
カテゴリー
絞り込みオプション
 
×閉じる

ページのトップへ