書籍詳細

「量子化学」のことが一冊でまるごとわかる
今後ますます重要になる「量子化学」の概念を易しく解説

「量子化学」のことが一冊でまるごとわかる
著者名
齋藤勝裕
ISBN
978-4-86064-619-6
ページ数
272ページ
価格
定価1,870円 (本体1,700円+税10%)
発売日
2020年05月27日発売

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内容紹介

化学には有機化学、無機化学、高分子化学、生化学、分析化学など、いろいろな領域があります。そのような中にあって、量子化学は化学の全ての領域にまたがった、化学の根本を明らかにしようとする分野といえます。量子化学とは、「量子力学」の諸原理を化学の諸問題に適用し、原子と電子の振る舞いから分子構造や物性、あるいは反応性を理論的に説明づける学問分野です。本書では、化学を専門とする著者が、今後ますます重要性の増してくる量子化学について、その概念を誰もが理解できるように解説した入門書です。

著者コメント

(「はじめに」より)

 人類の歴史は石器時代から青銅器時代を経て鉄器時代の現代に至ります。青銅も鉄も金属であり、銅とスズを混ぜて青銅を作るのも、鉄の酸化物である鉄鉱石を還元して金属鉄を得るのも、全ては化学反応であり、化学の知識が無ければ出来るものではありません。
 このように人類はその黎明期から化学を操ってきたのです。中世に盛んになった錬金術も同様です。錬金術というと妖しげな魔法のように思われがちですが、真面目で敬虔な錬金術師たちは真剣に物質の変 化を追及し、実験に実験を重ねて今日の化学、延いては科学の礎を作ってくれたのでした。

 そのような歴史の中で化学者は研究を重ね、ついに物質の根源である原子に到達しました。しかし、究極の微粒子である原子は、肉眼で見ることのできる物ではなく、人間はそれを空想するだけでした。つまり空想の原子を操って化学反応を行なっていたのですから、霧の中でピクニックをするようなものです。全ては想像と推論です。
 人類はそのような漠然として曖昧な状態の中で手探りに実験を重ねることで実験事実を重ね、知識を蓄積してきました。それが19世紀末までの化学界の姿でした。

 ところが20世紀の鐘が鳴った途端、化学界は激震に見舞われました。この時、後の科学界を根底から覆す二大理論「相対性理論」と「量子論」が相次いで誕生したのです。相対性理論は宇宙を相手にする、いわば無限大世界を研究対象とする理論です。それに対して量子論は原子、電子等の微小粒子を相手にする、いわば無限小世界を研究対象とする理論です。

 量子論はやがて研究対象を原子、電子に絞って「量子化学」として発展を開始しました。この時から化学に“理論”が取り入れられたのです。それまでの、理論無しにやみくもに実験を重ねる方法論から、理論的に考え、理論的に実験する方法論に切り替わったのです。
 この方法論を大きく進めたのが1950年代に開発された「分子軌道理論」です。そして1970年代に入ると「軌道対称性の理論」が現れ、全ての化学現象は霧が晴れた白日の下に晒されたのでした。
 現代化学は量子化学的な考察無くして一歩も前に進むことはできません。全ての化学的理論は量子化学を基に組み立てられ、全ての化学実験は量子化学を基にその意味を吟味されます。

 本書はこのような量子化学をわかりやすく、易しく楽しくご紹介したものです。執筆の基本姿勢は「数学を除く」、いわば「数学フリーの量子化学」を目指すというものです。とは言うものの、ページをめくると、特に最初の部分には数式が目立ちます。
 しかし、その数式は「形がモノモノシイ」だけで、実は四則演算を行なっているだけです。落ち着いて読んで頂ければ「ナーンダ」というようなものです。何でしたらこの部分は読み飛ばしても構いません。後半に入ると数式はありません、図だけです。この「図で考える」の が軌道対称性の理論の本質なのです。
 皆さまに本書によって、量子化学の世界で理論化学を楽しんで頂くことができれば、大変に嬉しい限りです。

著者プロフィール

齋藤 勝裕(さいとう・かつひろ)
1945年5月3日生まれ。1974年、東北大学大学院理学研究科博士課程修了、現在は名古屋工業大学名誉教授。理学博士。専門分野は有機化学、物理化学、光化学、超分子化学。
おもな著書として、「絶対わかる化学シリーズ」全18冊(講談社)、「わかる化学シリーズ」全16冊(東京化学同人)、「わかる×わかった! 化学シリーズ」全14冊(オーム社)、『マンガでわかる有機化学』『毒の科学』『料理の科学』(以上、SBクリエイティブ)、『生きて動いている「化学」がわかる』『「発酵」のことが一冊でまるごとわかる』(以下、ベレ出版)など。

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