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Let's enjoy the process!(陽は必ず昇る!)

著者 英語教師 植田一三

第4回「日英の発想の違いを越えた新たなスタンスを!」

ネイティブ・ノンネイティブを超えたグローバルなborderless Englishを模索する

 英語と日本語の発想の違いは、「音声・リズム」「語彙」「文法・文構造」「論理性」など様々な形で現れますが、英語のネイティブの比率が22%、ノンネイティブが78%の時代において、ネイティブの発想によるだけでなく、ネイティブ・ノンネイティブを超えた多くの人にもわかる英語が重要になっていきます。2回の米国大学院留学を終えて帰国する1999年までは、ネイティブの英語的発想の英語を学び、模倣し、日本語英語はNGであるという考え方に傾倒していましたが、21世紀になってからは段々とネイティブ英語信仰は薄れていき、グローバルなborderless Englishを模索するようになりました。

「音声・リズム面」では、「通じやすさ」と「多様性」が重要

 まず「音声・リズム面」では、「通じやすさ」と「多様性」の点で考慮する必要があります。前者では、American EnglishのTの弱系は聞き取りにくく、Queen’s Englishがわかりやすく、I met him at the party.(アイメリムマッザパーリー)のようなわかりにくいアメリカンEnglishはふさわしくありません。また、後者の点では、インド英語もアラビア英語も中国英語も重要で、聞き取れるようになる必要があります。また、コミュニケーションの見地からは、イントネーションやストレスは、言語を問わず入れた方が聞き取りやすく、説得力があります。ハリーポッターの魔法の杖の「アメリカンの日本語説明」がメローディアスでドラマチックで分かりやすかったので、日本人も日本文化の殻を破って見習うべきだと思いました。

「語彙面」では、状況によって使い分ける

 「語彙面」では、英語と日本語の単語の「意味の広がりの違い」を洞察することが重要です。日本の英語教育では、「英単語の代表的な意味」を覚えるアプローチが主流なので、英語を発信するときにずれた単語を使ってしまうことがあります。例えば「なる」を英語で言おうとするとすぐに浮かぶのが、becomeやgetですが、意味の幅をとらえ、状況によって使い分ける必要があります。たとえば「ある目的に必要な性質を持つ(make a wonderful couple)」、「悪い状態へなる・~化する(go missing[public, international])」、「ある状態に到達する(come true)」、「ある悪い状態に陥る(run[late, short])」、「段々とある状態になっていく(grow taller)」、「急に異なる状態・性質に変わる(turn professional)」、「ある数値になる(reach $1000)」、「最後に~になる(end up in prison)」、「合計~になる・決定に至る(come to a conclusion)」のように使い分ける必要があります。しかし、日本の「受信型」英語教育ではこのシステマチックな教育がなされていないので誤用しやすいのです。

「文法面」では、論理的に考えて自分で正しい形を選ぶ

 「文法面」では、「論理面」と「慣用面」の両方を考慮しなくてならないので厄介です。ネイティブは慣用性に頼るのに対して、ノンネイティブはその勘が働きにくいので、論理的に考える方がベターです。たとえば、何かを「自分の意志で」するを英語では、do ~”of one’s own free will”、「気の向くままに」する時は“at will”と言われていますが、慣用表現を丸暗記していると無限に覚えないとならないし、慣用表現が変わると翻弄され続けるので、論理的に考えて自分でも作り、グーグルチェックする姿勢が必要です。この例の場合、ofは「自由意志をずっと持って」の用法で、atは「一時的」を表すので「気の向くままに」となるわけですが、他にグーグルサーチするとof>out of>with>atとなって、out ofやwithはofの半分、atは3分の1となってどれもOKと思われます。また、慣用である‟own”を省くと、つける場合の6割ぐらいになりますが、その場合は、with>out of>ofと6・5・4の頻度になってatが不可となります。そこでグーグル結果を参考に論理で考えて、「基本的にはofがベストだが、out ofやwithも考えられる。ただしownの無い場合は前の名詞とofとひっついてわかりにくい、atは一時的なのでよくない」などの判断をして、昔の辞書やネイティブやグーグルに翻弄されずに、自分の辞書を作る「信念」が必要です。

アクエアリーズ

記事を書いた人:植田一三(うえだ いちぞう)
英語の最高資格7冠突破校Aquaries School of Communication学長。英語の百貨事典を10回以上読破し、辞書数十冊を制覇し、洋画100本以上の全セリフをディクテーションするという「超人的」努力を果たす。ノースウェスタン大学院・テキサス大学院(コミュニケーション学部)を修了し、同大学で異文化間コミュニケーションを1年間指導。Let's enjoy the process!(陽は必ず昇る)をモットーに、31年の教歴において、英検1級合格者を1600人、資格3冠(英検1級・通訳案内士・TOEIC980点)突破者を200名以上育てる。主な著書に、『英語ライティング至高のテクニック』『英語で経済・政治・社会を討論する技術と表現』『発信型英語スーパーボキャブラリーブルディング』などがある。

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