検索
  • 著者のコラム

僕が見たアメリカ[6]~これだから異国の生活は面白い~

著者 藤井拓哉(英語講師)

マイノリティーであれ!

日頃から留学を勧めている私。そのため、学生から「先生は、アメリカに留学して良かったと思えることは何ですか?英語が話せるようになったことですか?」といった質問もちょこちょこ受けます。

確かに英語が話せるようになったのは大きかったです。おかげで、英語の教員として、家族にメシを食べさせることができているのですから(ちなみに英語でもput food on the tableで「生活していく/養っていく」という意味を表すことができます)。しかし、一番良かったこと……ではないですかね。

では、一番良かったのは何か?それは「マイノリティーでいられたこと」だと思っています🤔

国旗を床に描く人

アメリカは、アピールしてナンボ

マイノリティーでいると様々な壁にぶつかります。

代表的なのが根本的な文化・考え方の違いでしょう。

例えば、アメリカは自分の意見を言ってナンボ、アピールしてナンボの世界です。そのため、和を重んじる日本特有の「目立たない」「謙遜の美徳」といった考え方は基本的に理解されず、意見を言わないと何も手に入れられません。

文法や発音なんて間違っていても全く問題なし。とにかく「自分を出すこと」が求められます。

しかし、私にとって、体に染み付いた日本の考え方や振る舞いを捨て、相手の土俵に立って戦うというのは簡単なことではなく、かなり苦労しました😭頭ではわかっていても「完璧な英語を話さなければ……😰」と恥を恐れ、自分の意見がなかなか言えない。

そんな日々が続いていたのですが、いろいろと考え、行動していくうちに、だんだん意見が言えるようになっていきました。そして、こういう壁を乗り越えることで私は成長できたのだと思います。

日本社会では感謝される「柔軟性」

私は、マイノリティーでいられたことで、自分の価値観ではなく、その場で求められている行動を取るといった「柔軟性」を身につけることができたと思っています。

例えば、日本社会でしばしば見受けられる「誰も意見を言わない会議」。

私のスタンスは「(アメリカ的に)自分の意見は言うが、(日本的に)周りの様子を見ながらタイミングと言葉を選んで発言する」というものです。

これは議長からは、よく感謝されます。

これができるようになったのは、アメリカでの生活を通して「自分の求められている振る舞い」を把握できるようになったからだと思っています🤔

外国に行き様々な価値観に触れれば、今まで自分が常識だと思っていたことが否定され、「その場で求められる行動」が見えるようになってきます。しかし、滞在期間の短い旅行では「求められる行動」が見えるまでにはならないでしょう。また、日本にいる外国人との交流だけでは、十分とは言えない気がします。

そのため、その国で生活する「留学」(最低1年ぐらい)が、やはりオススメです!


記事を書いた人:藤井拓哉(ふじい たくや)
1984年生まれ。父親の仕事の都合で3歳~6歳までと、15歳~24歳までをアメリカのオハイオ州で過ごす。オハイオ州立大学、同大学院で教育学を学び、日本語の教員免許とTESOL(英語を母国語としない方のための英語教授法)を取得。帰国後は、宇都宮大学で英語講師を務め、数学、化学、生物学、物理学を英語で学ぶ「理数系英語」の講義を定期的に行い、2010年と2013年にベストレクチャー賞を受賞。筑波大学、上智大学などで英語の指導を行う。

「日本における英語教育格差是正」を目標に「全て無料・登録不要」で学べる「基礎文法学習」「英検対策」「TOEIC対策」など多数の英語教材をホームページ上にて作成、公開中。
著書に『たくや式中学英語ノート』シリーズ全10巻(朝日学生新聞社)、『たくや式どんどん読める中学英語』シリーズ(朝日学生新聞社)、『MP3CD付き ガチトレ 英語スピーキング徹底トレーニング』シリーズ(ベレ出版)。TOEIC 955点、TOEFL 101点。
ホームページ:https://withyoufujii.com/
Twitter:@gachitore1

学びたい人応援マガジン『まなマガ』

ベレ出版の新刊情報だけでなく、
「学び」に役立つさまざまな情報を月2回お届けします。

登録はこちら

ベレ出版公式SNS

週間ランキング情報やおすすめ書籍、書店様情報など
お知らせしています。ベレ出版マスコット犬「なみへいさん」の
LINEスタンプが登場!