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  • 編集部コラム

山と文学を愛する会

学生時代、「岳文会」という山岳サークルに入っていました。1960年創立当時の活動目的はその名のとおり「山と文学を愛する会」だったそうです。当時の学生人気を反映して生まれたのでしょう。しかし、いつしか文学の活動は忘れ去られ、自分が在籍した1990年代半ばは、山に登るモノ好きな若者も少ない時代で、消滅寸前でした。OBの話によると創立当時は文学活動について「山岳文学に限るのか」「文学なら何でもよいのか」「新田次郎かサルトルか!」なんて論争があったそうですが、もう山も文学も人気ないし、正直どうでもいいじゃないかと思った記憶があります。

さて時代は下り、いまは空前の山ブーム。「岳文会」も自分の時代にはほとんどいなかった「山ガール」で大盛況のようです。しかしながら、文学活動はやはり聞こえてきません。もし文学活動が復活するとしたら、いまの学生はどんなものを読むのでしょうか。もう共通の文学談義が成立する時代ではなくなったと思いますが、若者の山ブームに影響を与えたフィクションというなら、きっと石塚真一『岳』は外せないでしょうね。僕も大好きな漫画です。ちなみに僕がいつも山に持っていく本があります。カミュ『シーシュポスの神話』。理由は読み応えがあって薄くて軽いのと、シーシュポスの不条理と登山という営みがなんとなく似ているような気がするからです。僕はいつもこのシーシュポスと『岳』の主人公三歩を胸に抱えて登り続けています。

モリ

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