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  • 編集部コラム

ウイスキーづくりが教えてくれるもの

先日、シングルモルトウイスキー白州を製造するサントリー白州蒸留所を見学してきました。ウイスキーの製造工程はどこもほとんど変わらないのですが、使用する水・材料や蒸留器などによって違いを生み出しているそうです。さらに、ウイスキーは樽に入れて熟成させるわけですが、同じ原酒でも貯蔵庫の樽を置く位置によって味が変わるそうです。ちょっとした条件の違いによって、一つひとつの樽が個性を持つようになるんですね。

シングルモルトウイスキーの定義は「一つの蒸留所で作られたモルトウイスキーを瓶詰したもの」ですが、「一つの蒸留所」であって「一つの樽」とは書かれていません。じつは、ほとんどのシングルモルトウイスキーは、一つの蒸留所で生まれた様々な「樽」のモルト原酒を組み合わせて作られています。“シングル”の味を引き出すために、じつは様々な“個性”を組み合わせているのは驚きでした。

白州にはノンエイジ、酒齢12年・18年・25年があります。もちろん25年は125,000円もするほど価値のあるものですが、一方でノンエイジの爽やかでみずみずしい味わいは、高酒齢のものでは得られない価値があります。そうして考えると、モルト原酒のそれぞれの個性や価値を引き出し、まとめあげて作られるウイスキーは、企業運営やモノづくりに通底するところがあるように思えます。たとえば、一つの企業(=蒸留所)も、様々な個性を持った人(=樽)で成り立っています。社員の個性と能力をどう組み合わせて結晶させるかを考える「社長」は、ウイスキーの世界で言う「マスターブレンダ―」のような存在かもしれません。その意味で自分自身は、様々な原酒とうまく響き合えるモルト原酒のような社員でいたいですね。

モリ

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