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  • 著者のコラム

通訳ガイドのススメ―英語が「話せる」ようになりたい人へ #1

第1回 なぜ私は通訳ガイドになったか

著者 新城宏治(株式会社エンガワ 代表取締役)

ベレ出版から2023年6月に発売される『TOEIC L&R TESTドリルでマスター 出る順英単語』の企画・編集を担当しました、株式会社エンガワの新城と申します。編集部からのご依頼で、4回に分けてnoteを書かせていただくことになりました。

私は語学教材の編集に携わる一方、時間がある時は通訳ガイドのお仕事もしています。この通訳ガイドのお仕事は、特に英語を勉強している人にはオススメのお仕事です。第1回目はなぜ英語学習者に通訳ガイドをオススメするのか、その理由をお伝えしたいと思います。

 なぜ、通訳ガイドをするようになったか

私は5年程前から通訳ガイドをしているのですが、もともとは「英語を話せるようになりたい」という、よくある日本人英語学習者の動機から始まっています。日本人は英語を話すのが苦手だ」とよく言われますが、その原因は「日本国内では英語を話す機会がない」「英語を話さなくても特に困らない」からだと思います。

そこで、「英語を話す機会」がどこかにないか考えました。最初に、新宿・ゴールデン街のバーのカウンターでお酒を呑むことを思い付きました。ゴールデン街は外国人観光客に人気のスポットです。カウンターで呑んでいるのは大抵1人か2人連れぐらいの外国人ゲストなので、自然と英会話が始まるのです。

これはこれで楽しかったのですが、しばらく通ううちに、英語が目的なのか、お酒が目的なのか自分でもわからなくなり(笑)、かつお金も結構かかるので毎日は通えなくなりました。その一方、そこで観光地やレストランなどについてあれこれ聞かれることが多く、「そうか、通訳ガイドのニーズって、結構あるんだな」ということに気づきました。

そこで「英語を話せるようになる」ために、全国通訳案内士試験を受験・合格して、通訳ガイドを始めることになりました。ガイドをしている間は、1日6時間ぐらいは「英語漬け」になります。これを英会話スクールにお願いしたら相当な授業料を払わなければならないのですが、通訳ガイドなら逆に少なくない報酬をいただき(時にはチップも)、とても喜んでもらえます。英語学習者にとって、こんなにいい仕事は他にありません。もちろん、6時間の「英語漬け」の効果は抜群です。

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神社仏閣では「額には何と書いてあるの?」と聞かれます
左から読まないように注意しましょう

 コロナ明けの訪日ブーム

2023年春はコロナが明け、多くの外国人観光客が日本にやって来ました。2年間、日本に来たくてウズウズしていた人たちが一気に押し掛けたのです。観光地はどこにいっても、外国人観光客であふれかえっていました。皆さんの中にも「外国人の姿が増えたな」と思っている人も多いと思います。

東京に住んでいる方は、(もし機会がありましたら)平日の午前中に皇居に行ってみるといいでしょう。9割方外国人です。まあ、一般的な日本人は、働いている時間なので当たり前ではありますが(笑)。ちなみに皇居東御苑(一般に公開されている旧江戸城部分)は月・金曜日は休園ですので、ご注意ください。

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現代の中に伝統が生き続けているのが日本の魅力の一つです

このような状況ですので、今春にはガイドの依頼案件がたくさんありました。ただ、この仕事の弱点は季節変動性が大きいということです。桜と紅葉のシーズンに観光客は多くなりますが、雨の多い梅雨、高温・高湿の夏、寒い冬の季節はそこまでは観光客は多くありません。

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「ここに江戸城の天守閣がありましたが、17世紀半ばに明暦の大火で焼失してしまいました」などと、英語で説明します

 通訳ガイドで4技能が伸ばせる

先に、「英語が話せるようになりたい」のが元々の動機だと書きましたが、(もちろん「話す力」も伸びるのですが)同じだけ「聞く力」も伸びます。会話をしていれば、大体、同じ分量の英語を聞いて話しますので。

ゲストは全世界からやってきます。アメリカ英語(ニューヨークとロサンゼルスでは随分と英語も違うということも実感できます。東京と大阪の違いのようなものでしょうか)、イギリス英語、オーストラリア英語、ヨーロッパの他の国の人たちが話す英語、アジアの人たちが話す英語、、、オーセンティックでバリエーション豊かな英語です。スピードは手加減なし。正直、TOEICのリスニングテストの時より、集中してゲストの英語を聞いています(笑)。これでリスニング力が伸びないはずがありません。

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なつかしい駄菓子屋さんやお祭りの屋台では、ゲストと一緒にガイドも楽しみます

通訳ガイドをしていると、実は「読む力」や「書く力」も伸びます。それはなぜかと言うと、ガイド当日までの間に、ゲストの希望を聞いたり、旅程を作ったりするのに、メールで何度もやりとりをするからです。これもかなり本気で英文を書きます。より自然でわかりやすい表現を考え、何度も校正します。英語のスペルミスがあったら恥ずかしいですからね。でも、返事には結構スペルミスがあったりします(笑)。日本人がチャットに書く日本語と同じで、細かいミスには、あまりこだわらない人も多いようです。


記事を書いた人:新城宏治
1965年生まれ、千葉大学文学部史学科卒業。株式会社アルクで30年間、語学書の編集に携わる。2020年に独立して株式会社エンガワ創設。現在、株式会社エンガワ代表取締役のほか、大学の非常勤講師、NPO活動などにも関わる。

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