書籍詳細

「ニュートリノと重力波」のことが一冊でまるごとわかる
ニュートリノと重力波で、「さらに奥の」宇宙に迫る!

「ニュートリノと重力波」のことが一冊でまるごとわかる
著者名
郡和範
ISBN
978-4-86064-649-3
ページ数
280ページ
サイズ
A5判 並製
価格
定価1,980円 (本体1,800円+税10%)
発売日
2021年02月04日発売

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内容紹介

宇宙の観測は、可視光のみを使用してきた時代から、電波、赤外線、紫外線、X線、ガンマ線などの電磁波のあらゆる波長を用いたものに発展してきました。そして宇宙の最果てを見るため、ついにマイクロ波により宇宙誕生から38万年後の「火の玉宇宙」の姿を捉えるに至りました。ではそれ以前の宇宙の姿はどのように見るのでしょうか? それを観測することを可能にするのが「ニュートリノ」であり、さらに「重力波」なのです。原理的に、ニュートリノにより「火の玉」のさらに奥の宇宙の情報を得ることができます。さらに、重力波により、誕生時の宇宙の姿を見ようとする段階にまできています。ニュートリノと重力波という2つのキーワードについて、宇宙に興味のある人なら誰もが理解できるよう一つ一つ丁寧に解説していきます。

著者コメント

(「はじめに」より)

宇宙を理解する2つのキーワード
― ニュートリノと重力波 ―

 新聞やテレビやネットのニュースを見ていて、「ニュートリノ」や「重力波」という言葉を見聞きする機会が増えたように感じる方も多いのではないでしょうか。それもそのはず、ニュートリノと重力波に関する最新の実験結果が続々と報告されているのです。
 2020年4月には、つくばにある「高エネルギー加速器研究機構」(KEK)によって、ニュートリノとその反粒子についての性質の違いの兆候が初めて報告されました。また、2020年9月にはアメリカのLIGO実験グループが太陽の85倍と65倍の巨大な双子(連星)のブラックホールが衝突してつくられた重力波を検出した、と報告しました。
 ノーベル物理学賞も、2015年にニュートリノ振動の発見によって東京大学の梶田隆章さんが受賞し、さらに2017年には2015年のブラックホール連星からの重力波の初検出によってLIGO実験グループの3人が受賞しています。我々専門家はもちろん、一般の人々にとっても、宇宙の根源的な謎の解明のために、この2つのキーワードを理解することが必須となってきたように思います。
 それら2つを簡単に説明すると、次のようになります。ニュートリノとは、電子の親戚のような粒子です。電荷がないので、電子のような家電製品との関係は残念ながらありません。ニュートリノと、見えない物質(ダークマター、つまり暗黒物質)や見えないエネルギー(ダークエネルギー、つまり暗黒エネルギー )との関係が議論され続けています。重力波は、我々が住む4次元時空の歪みが伝わる時の波です。時空をゆるがすような重い星の爆発、あるいは宇宙誕生の時などにつくられ、いまもこの宇宙をその重力波が漂っています。また、重力波の研究はブラックホールの研究とも深く関係しています。
 ニュートリノと重力波は、目で見ることも、手で触れることもできません。ほぼすべてのものを通り抜けるからです。そのため、これらを捕まえるためには、目で見える光(可視光)などで観測するこれまでの天文学とは、まったく別の方法が必要になります。逆に、そのせいで、可視光などでは見えない宇宙の違った姿を見せてくれるのです。驚くことに、太陽の中心、恒星が爆発する瞬間、宇宙誕生時のビッグバンでつくられる火の玉の中などの極めて貴重な情報を伝えてくれます。
 私は宇宙誕生の秘密の解明のため、理論物理学の研究に取り組んでいます。そのためには、数学、物理学、天文学などの知識を総動員して研究する必要があります。その時、同時にニュートリノと重力波の謎も解明する必要があるのです。本書では、ニュートリノと重力波の解説を通して、宇宙誕生の謎の解明の現状に迫っていきます。
 本書のスタイルとして、現在わかっていることと、わかって"いない"ことを区別して書くことに注意しています。この境界をはっきり解説できることこそ、我々がプロの研究者たる所以なのです。本書により、これまでに何がわかり、今後、何を解明すべきなのかについて
伝えることができれば幸いです。

 本書の最後に、ニュートリノと重力波の研究が、私たちの起源、つまり私たちの身体をつくる物質が、この宇宙のどこで、いつ生まれたのかという謎を解く可能性があるという話をします。その謎の解明は、実はすぐそこに迫っているのかもしれませんよ。

著者プロフィール

郡和範(こおり かずのり)
1970 年兵庫県加古川市に生まれる。現在、高エネルギー加速器研究機構(KEK)准教授、総合研究大学院大学と東京大学カブリ数物連携宇宙研究機構を兼任。2000 年東京大学大学院理学研究科物理学専攻博士課程修了。2004 年米ハーバード大学博士研究員、2006 年英ランカスター大学研究助手、2009年東北大学助教、2017年英オックスフォード大学招聘准教授などを経て現職に至る。この間、京都大学、東京大学、大阪大学の博士研究員に従事。主な研究内容は宇宙論・宇宙物理学の理論研究(キーワード:ビッグバン元素合成、ダークマター、初期宇宙のインフレーション、ブラックホール、重力波、宇宙初期の量子ゆらぎ、宇宙マイクロ波背景放射、21cm線放射、ニュートリノ、ガンマ線/X線、宇宙線、ダークエネルギー、バリオン数生成、など)。著書に『宇宙はどのような時空でできているのか』(ベレ出版)などがある。

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