書籍詳細

地図リテラシー入門―地図の正しい読み方・描き方がわかる
よく見る地図の「ウソ」と「誤り」を見抜けますか?

地図リテラシー入門―地図の正しい読み方・描き方がわかる
著者名
羽田康祐
ISBN
978-4-86064-666-0
ページ数
287ページ
サイズ
四六判 並製
価格
定価2,090円 (本体1,900円+税10%)
発売日
2021年08月26日発売

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内容紹介

Googleマップの登場によって、「地図」は便利で身近なものになりました。しかしその一方で、地図を正しく読む力や正しく作成する力ないままに利用されたために、誤った地図や恣意的な地図が出回るようにもなりました。そうした弊害をなくすには、“読み書きそろばん"と同じように、地図を正しく扱えるスキル(=地図リテラシー)を身につける必要があります。そこで本書では、地図を作る側の視点から、地図の正しい読み方や作り方を解説していきます。「地図とは何か」からはじまり、「地図の誤った使われ方」を通して「地図の正しい作法」「地図のしくみ」をフルカラーで豊富な図版とともに学んでいきます。「電子地図」を含め、地図に関する知識をくわしく基本から網羅した最強の「地図の教科書」です。

著者コメント

(「はじめに」より)

 今では「地図の読み方・描き方」と言われたら、ほとんどの人はカーナビやスマホの地図アプリに表示される地図の利用方法を想像するでしょう。1990年代以降、地図の利用は劇的に変わりました。以前はドライブデートで道路地図の読み方をめぐる夫婦や恋人たちの喧嘩があったそうですが、カーナビが普及した現在ではこのような話題は聞きません。スマホで徒歩や交通機関を利用したナビゲーションもできるので、「地図は便利なもの」といって疑う人はいないでしょう。ナビゲーションは情報技術がサポートしてくれることもあり、ほとんどの人は地図の読み方をわざわざ学ぶ必要性を感じないでしょうし、ましてや地図の描き方は専門家以外には縁がない世界だと思われているでしょう。
 しかし実際私たちは、身近なところでさまざまな地図を読んだり描いたりしています。たとえば、ニュースや統計資料に見られる「人口増加率」や「感染者数」を示した地図があります。これは中学地理で習った「主題図」と呼ばれるものですが、最近では「情報の視覚化(データビジュアライゼーション)」という別の呼ばれ方もされています。ところで「なぜ人口増加率や感染者数の地図は赤いのか」「なぜこの地図は塗り潰しではなく円の大きさで表示するのか」「なぜ主題図の形は地図アプリの形と違うのか」といった疑問に答えることはできるでしょうか。
まだ主題図の読み方・描き方の最適解をITが示してくれる段階にはないので、このような疑問に答えられない人が情報を地図で視覚化すると、不適切な表現になる可能性があり、実際に誤った表現は多く見られます。そのため、読み手側で地図を正しく判断できる力が必要なのです。
 さて、2020年度から2022年度にかけて、「生きる力」を育むことを目的として、学校での教育が大きく変わります。高校の社会科では「地理総合」と「歴史総合」が必修科目となり、約半世紀ぶりに地理の必修が復活しました。「地理総合」では「地図や地理情報システムで捉える現代社会」が大きなテーマのひとつになっています。つまり、全国の高校生の誰もが授業で地図や地理情報システムを学ぶようになるのです。「地理情報システム(Geographic Information System)」、略して「GIS」という言葉は、ひとまず「電子地図」と理解すれば大丈夫です。
 学校教育に限らず、地図は書籍から学ぶこともできます。地形図の読み方、国土地理院や企業における地図製作の紹介、紀元前から発展してきた地図の歴史など、さまざまな書籍があります。しかし、「主題図」の読み方を詳しく解説した一般書はほとんどありません。また「地図投影法」という、丸い地球を平面に表現する方法も、一般書での解説は控えめです。
そしてGISは、半世紀以上の歴史があるにもかかわらず、「ICT(情報通信技術)」や「IoT(モノのインターネット)」といった最近登場した言葉に比べてまったく知名度がありません。大型書店で「GISの本はどこですか?」と尋ねると、たいてい「JIS(ジス)」のコーナーに連れて行かれ、「これはジェーアイエスです」と指摘するのがお約束です。
 本書で掲げた「リテラシー」とは、元々読解記述力(識字)を意味する言葉でしたが、転じて物事を適切に理解・表現する力を指すようにもなりました。「ITリテラシー」という言葉がよく使われていますが、これは情報技術(IT)を理解して使いこなす力を意味します。
 本書では「地図リテラシー」として、「主題図」「地図投影法」「地理情報システム(GIS)」の3つのキーワードに焦点を当てました。「一般図」の理解も重要ですが、一般図に固有の内容は割愛し、主に主題図と共通する内容を取り上げました。今は地図投影法に詳しくなくても、GISで簡単に地図が作製できますが、主題図の理解と同様に、原理・原則を知らないまま利用すると不適切な表現になってしまいます。特にウェブ上では、多くの主題図がメルカトル図法で描かれていますが、この表現が条件によっては不適切になることはほとんど知られていません。適切な地図の表現には地図投影法の知識が必要です。本書では難しい計算式は使わず、仕組みと考え方を解説しました。GISは電子地図以外に、もっと広い意味があります。GISの歴史をたどり、紙地図との考え方の違いや最近の動向を示しました。
 地図は、地球上で起きている事象を図で示したものであり、情報を視覚化して伝える手段のひとつです。地図の正しい読み解き方・描き方を知ることで、誤った表現に惑わされることなく、世界の様子が読み解けるようになります。それは生きるための教養です。本書を通じて、生きる力の糧として「地図リテラシー」を身につけていただければ幸いです。

著者プロフィール

羽田 康祐(はだ こうすけ)

1981年、広島県呉市生まれ広島市出身。奈良大学文学研究科地理学専攻修了、修士(文学)。2005年、米国GISソフトウェア企業の国内総販売代理店に就職し、GISの導入コンサルティングやトレーニング講師、技術サポートなどに従事。2016年から2021年まで、政府機関に入庁し、内閣事務官として安全保障や災害・危機管理に関する分析支援、および組織内のGIS教育に尽力した。
在学中から、パーソナルブランドを通じて、地図、GIS、IT、趣味などの幅広い情報を発信している。著書に『図解!ArcGIS 10 -ジオデータベース活用マニュアル』(共著、2014年、古今書院)など。

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