地球から出発し、地球がある「太陽系」、太陽系がある「天の川銀河」、天の川銀河のある「局所銀河群」、局所銀河群のある「おとめ座超銀河団」というように、宇宙の果てに向かって、最新の研究や観測結果をまじえながら、宇宙の構造について解説します。
月刊「星ナビ」(アストロアーツ)の連載などで天文ファンにおなじみの平松正顕先生による、わかりやすく読みやすい文章。宇宙についてもう少し深く知りたい人、知識を整理したい人も納得の内容です。
宇宙の全体像とは? 人類はどのように宇宙を理解してきたのか? これまでにわかってきた宇宙像について解説する書籍の決定版。
書籍詳細
宇宙はどのような姿をしているのか
地球から宇宙の彼方へ! 距離を手掛かりに理解する宇宙の全体像

- 著者名
- 平松正顕
- ISBN
- 978-4-86064-681-3
- ページ数
- 371ページ
- サイズ
- 四六判 並製
- 価格
- 定価2,200円 (本体2,000円+税10%)
- 発売日
- 2022年01月26日発売
内容紹介
著者コメント
(「まえがき」より)
「空あふぎ何をもとむや」
「前の世に住みけむ星を忘れたる故」
歌人・石川啄木は、こんな作品を残しています。
「空を仰いで何を求めているの?」
「前世に住んだ星を忘れたからさ」
およそ100年前につくられたこの歌は、現代天文学の観点からもたいへん味わい深いものです。というのも、深遠なる宇宙を科学の眼で見つめてきた天文学が教えてくれるのは、私たちのルーツは宇宙にある、ということ。宇宙の全体像を読み解きながら、宇宙と私たちのつながりを実感してもらうことが、本書のテーマです。
壮大な目標に思えるかもしれませんが、その入り口は、星空です。皆さんは、夜空をじっくりと眺めてみたことはあるでしょうか。夜空を眺めていると、 「あの星はどれくらい離れたところにあるんだろう」 「星々の間をずっとずっと進んでいくと、どんな世界が広がっているんだろう」といった疑問を抱くこともあるかもしれません。こうした素朴な、しかし深い疑問を、人類は昔から抱いてきました。世界各地に天地創造の伝説が残っているのも、そうした問いかけになんとか答えを見出そうとした先人たちの「足跡」といえるでしょう。
そして近世以降は、天文学がその問いかけに対するアプローチの重要な部分を担うことになります。望遠鏡の発明と発達によって、宇宙全体の構造や、そこで繰り広げられる星々の多彩な営みが明らかになってきました。科学の手で神秘のベールが少しずつはがされていくことでロマンが失われていく、と感じる方もいるかもしれませんが、いやいやどうして、科学が明らかにした世界にもワクワクやドキドキが詰まっています。周囲のガスを激しく吸い込む巨大なブラックホール、太陽系の惑星とは似ても似つかない灼熱の巨大惑星、宇宙の歴史のなかで延々と繰り返される星の誕生と死。夜空の暗闇のなかには、こうしたたくさんの物語が隠れているのです。
この本では、私たちからの「距離」を縦糸にとって、近い場所から遠い場所へと順々に宇宙の物語を紡ぎ出していきます。広大な宇宙ゆえに、私たちが住んでいる町の地図を見渡すのとはちょっと違った不思議な現象も起きています。が、ひとまず、地球から出発して、夜空をどんどん進んでいくという気持ちになって読み進めてください。
そして読み終えたら、もう一度星空を眺めてみてください。きっと、夜空に深い深い奥行きが感じられると思います。そしてそのなかに浮かぶ地球の姿、そしてあなたと宇宙のつながりまで思い描けたならば、翌朝からの日常がちょっと豊かになるかもしれません。
著者プロフィール
平松 正顕(ひらまつ まさあき)
1980年、岡山県生まれ。
国立天文台 台長特別補佐、天文情報センター 周波数資源保護室 講師。
総合研究大学院大学 物理科学研究科 天文科学専攻 講師(併任)。
東京大学大学院理学系研究科天文学専攻 博士課程。博士(理学)。
専門は電波天文学、星形成、天文学広報など。
月刊『星ナビ』での連載や、講演、「一家に1枚 宇宙図」の作成など、広報活動を積極的に行なっている。
この書籍とオススメの組み合わせ
観測がわかれば宇宙がわかる!