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言葉が増えれば世界も広がる —私が多言語に携わることとなったのは #1

第一回:私を魅了した中国語

著者 青木隆浩

みなさん、こんにちは。昨年春の連載「言葉は話すためにある —勉強だけではもったいない!」に続き、今月再びnoteを担当させていただくことになりました、青木です。

今回は私が一番初めに外国語に興味を持ったきっかけや、当時の外国語学習方法などについてお話したいと思います。

1.外国語を学び始めたきっかけ

私が小学生だった90年代は、出稼ぎや国際結婚などで外国人が徐々に増えてきた時代でした。そうした中、親の仕事で来日した外国人児童の受け皿および日本語指導機関として私の小学校が市で初めての実践校に指定され、様々な国籍やルーツの生徒が学区外から通うようになりました。私の身近には中国、韓国、アメリカ、フィリピン、イランなどにルーツを持つ子がいました。

文化祭では世界各国の文化を学んだり体験したりするイベントが行われ、担任の先生も普段から「お友達の国」について話題にされていたので、おのずと外国語や異文化に対する関心が高まっていきました。

中でも、中国出身の生徒が最も多く、彼らが会話しているのを聞いて、「中国語ってきれいな響きの言葉だな」と思ったのが中国語に興味を持ったきっかけでした。さらに、テレビで時折流れる「天安門広場前の大通りを走る自転車の行列」や「庶民の生活が息づく古い町並み」を見て、いつか中国に行ってみたいと思うようになりました。

2.当時の外国語学習方法

中国語の響きに魅了された私は、中学2年生の頃からNHKのラジオ講座を聞き始めました。当時は今のようにCDや音声ダウンロード付きの教材などはなく、中学生のお小遣いでは高価なカセットテープ教材を買うこともできなかったため、300円のテキストで密度の濃い授業を提供してくれるラジオ講座は貴重でした。

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当時のラジオ講座テキスト

ラジオ講座の1つ目のメリットは月曜日から土曜日まで毎回20分間、決まった時間に学習することで、ペースを保てるという点です。特に語学はまとめて学習してその後ブランクが空いてしまうよりも、短時間でも毎日コツコツと一定のペースで続ける方が効率がよいと思います。一度、後で聞こうと思って番組を録音したこともありましたが、結局はずるずると聞くのを先延ばしにしてしまったので、本来のリアルタイムでの「授業」に戻しました。

2つ目のメリットとして、講師の先生の説明や発音が素晴らしい点です。実用的なフレーズが選び抜かれ、文法解説なども大変わかりやすく構成されていました。さらに、当時、フレーズを読み上げる先生の発音が非常にきれいだったので、自分もそのようなかっこいい発音がしたくて夢中で練習しました。今思えば、中学生が一流の先生方のレッスンを受けられる20分の講座はとても贅沢でした。

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当時のラジオ講座カセットテープ

3.会話練習法

私が中国語を学び始めた頃は、外国語といえば「英語、フランス語、ドイツ語」の時代で、中国語をはじめとしたアジア言語は「マイナー」とされ、「なんで中国語を勉強するの?」と不思議がられるご時世でした。

中国人と会話をしてみたいと思っても語学学校に行くお金はないし、中学生が一人で中華料理店に入ることもできないし、さらに当時は中国人の個人旅行が認められていなかったため、観光客を相手に会話練習をする機会もありませんでした。そのため、たまたま中国の人と居合わせる機会があったりしたら、そのチャンスを絶対に逃したくなくて、勇気を奮って話しかけるようにしました。

あるとき、中国人クラスメートのおばあさんが日本に来ると聞いたので、「中国語で会話がしてみたい」とお願いし、その子の家へ遊びに行きました。もちろん、聞き取れないところだらけでしたが、中国語をたくさん聞いて話せたというだけで大満足でした。ほかにも、駅前のたい焼き屋の店員さんが中国の人だとわかると、ほんの一言だけでも話したいという気持ちで、お小遣いをやりくりしては買いに行きました。

当時と比べると、今はインターネットで外国語のメディアにも簡単にアクセスでき、日本国内にも長期・短期滞在を問わず多くの外国人がいて、外国語を使う機会にあふれていると感じます。

人間、すぐ手の届く場所にあるとそのありがたみを感じなくなりがちです。けれども、この「未だかつてない環境」を生かしてみるのもよいかもしれません。


記事を書いた人:青木隆浩(あおき・たかひろ) 
東京外国語大学大学院にて博士号取得。北京語言大学に3年間留学。桜美林大学孔子学院講師。高校在学中に日中友好協会主催のスピーチコンテスト全国大会で優勝。また、中国政府主催の漢語橋世界大学生中国語コンテスト世界大会で最優秀スピーチ賞受賞。さらに、モンゴル国政府主催の若手モンゴル研究者プレゼンテーションコンテストにて優勝。
全国通訳案内士(中国語、韓国語、英語)、日本語教師などの資格を持つ。
著書に『ひとりで学べる中国語 基礎文法をひととおり』(共著、ベレ出版)、『基礎から学ぶ 中国語発音レッスン』(ベレ出版)、『マンガで身につく!中国語』(共著、ナツメ社)などがある。

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