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  • 著者のコラム

暦の科学
片山真人

写真:暦の科学

 2012年、こよみの世界はまさに盆と正月がいっぺんにやって来たような状況にあります。まずは5月21日の金環日食、ぎりぎりまで天候がどうなるかヒヤヒヤでしたが、多くの地域で眺めることができたようです。私の勤める三鷹市の国立天文台でも、雲から出たり入ったりではありましたが、存分に天空の丸いリングを堪能することができました。

 さらに、6月6日の金星日面経過はこれを見逃すと次は105年先になるレアな現象、8月14日の金星食もこれほど条件よく見られることは珍しく、時期的にもペルセウス座流星群とともに楽しめそうです。加えて、秋分の日が33年ぶりに9月23日でなくなったり、12月にはマヤの長期暦が一巡したりと話題に事欠きません。そんな年に本書を出すことができたのも何かの縁なのでしょう。

 こよみの本なのに、なぜ天文現象の話をしているのか? という声が聞こえてきそうですね。といっても、こよみを構成する概念である1年、1ヵ月、1週間、1日、1時間などの要素はたいてい何らかの天文現象に由来しているのです。太陽や月の動きといった天文現象の観測からその周期性をつかんで将来を予測し、農耕作業などの事業を計画的に実施するために誕生したもの、それがこよみです。したがって、天文学とは切っても切れない関係にあるのです。

 本書では、そうしたこよみの中に見られる天文学について解説しているほか、それらの元となる太陽や月の運動、日食や月食、潮汐といった現象についても、図やグラフを用いて視覚的に理解できるよう工夫をしています。また、質問電話当番をやっていたころの経験もふまえ、よく聞かれるネタ、知っているようで知らないネタ、知っているとちょっと自慢できるようなネタもたくさん盛り込んでみました。

 さまざまな天文現象を見て楽しみつつ、本書をご覧いただいて、何か一つでも新しい発見があれば幸いです。

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