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  • 編集部コラム

「プルーストを読む」という修行と喜び

「これを読破したらちょっとは箔が付くかな」くらいの軽い気持ちでプルーストの『失われた時を求めて』(吉川一義 訳)を読み始めたのが数年前。巻と巻の間にたっぷりと別の本を挟みながら、細々と読み続けています。

外国文学に触れるようになったのは、光文社古典新訳文庫の『カラマーゾフの兄弟』が出たあたりからです。亀山郁夫訳のドストエフスキーは当時、“読みやすくなった”などの評判もあったのですが、それでも自分にとってはなかなか苦労の多い読書体験となりました。登場人物は多いしカタカナの名前は長いしなんだかずーっとノイズのような苦しさを味わっている感覚で、早く読み終わりたい、早く本屋大賞が読みたい、などと思いながらなんとかやっつけるというようなものでした。それでも次の作品、また次の作品へと進んでいったのは、やはりそこに圧倒的な価値を、肌だけでなく、体の芯で感じていたからだったと思います。

件(くだん)の『失われた時を求めて』ですが、岩波文庫の第1巻が出版されたのが2010年11月、そこから毎年1、2点のペースで新しい巻が出され、とうとう2019年の11月に最後の第14巻が上梓されました。この読書の終わりが近づいている今でも一つの文章を理解するのに非常に苦労します。これは自分にとってはもはや修行であり、深いところでの喜びの一つとなっています。

バンドウ

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