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音楽はイヤホンで聴くだけでよいか

 先日、自宅のオーディオ機器を一新しました。以前の機器が壊れてからしばらくの間、音楽はDAP&イヤホンで聴いていましたが、最近になって、少しまともなアンプとスピーカーでリスニング環境を整えたのです。

 久しぶりにスピーカーで音楽を聴いて驚きました。イヤホンで聴いている感覚とまったく違うのです。ボーカルの息遣いや弦の響きなどが、生々しく伝わってきます。イヤホンでは頭の中で鳴っている感じですが、きちんとしたアンプとスピーカーでは、肌で音を感じる、あるいは全身で音を浴びるという感覚でしょうか。もちろんスピーカーの場合も、耳で聴くわけですが、皮膚や内臓も音圧や振動を感じ取っているのは間違いありません。音の奥行きや厚み、温度感、そして”存在感”がより多く感じられるのです。

 新しくオーディオを購入して最初に、薬師丸ひろ子さんの「Woman―Wの悲劇より」を聴いたのですが、あまりの歌声の素晴らしさに感動して涙が出そうになりました。レコード制作者が聴いてほしかったのは、この声の響きだったのかと。イヤホンで聴いていた時より何倍もいい曲に聴こえました。レコード制作の現場では、多くの時間を費やしてきめ細かく音作りをしています。しかしこれまで、制作者の意図通りの音を“体験”しきれていなかったことがよくわかりました。

 映画も、映画館の大画面とスピーカーで観られることを想定して制作されています。ですから映画館で観ることで制作者の意図を十分に体感できるわけです。本もしかり。サイズや厚み、デザインや書体、インクの色、紙質、製本も、本の内容に応じて選ばれ、読者が本を持ってページをめくりながら読むことを想定して作られています。“読書体験”が単に書かれている文字を読むだけでないことを、多くの読者に感じていただきたいですね。

モリ

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