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瞬間英作文シリーズ累計151万部突破!森沢洋介先生インタビュー vol.2

瞬間英作文シリーズ累計151万部突破!森沢洋介先生インタビュー vol.2

※このインタビューは、2016年9月のベレベレ通信に掲載された記事を加筆修正したものです。

シリーズ累計151万部を突破した瞬間英作文の著者である森沢洋介先生にインタビューを敢行。2回目は、瞬間英作文の上梓に至った「英語を理解していても話す力がなかった」という自身の経験や、効果的な“森沢式トレーニング”の活用法などについてお話いただきました。

(vol.1はコチラ

TOEIC900点レベルでも「英語を話す力」がなかった20代の頃

森沢:それ以外の(支持をいただいている)理由としては、妹(イラストレーターの森沢弥生さん)が描いているネコのキャラクターですよね。ちょっとめげそうになった時に、このネコがなんか無邪気でね。癒されるって。僕の友人なんか、「妹の力90%だよな。」って言うんですよ。(笑)このイラストの力が無かったらこんなに売れていなかったかもしれないんじゃないですかね。

後藤:イラストの力は大きいですよ。

森沢:あと、音声にポーズをつけた点、これは綿引さんが熱心に勧めてくれたんですよね。日本語があって、適当な長さのポーズがあって、英文が出るってね。これも無かったら、こんなにはヒットしなかったと思うんですよ。

後藤:僕は、先生がご自身でも、教室でもずっとやってきた思いが、説得力を持って本に現れたんじゃないかなと思います。先生ご自身の体験を教えて頂けますか?

森沢:大学に一浪して入った20歳から、学校受験英語の知識を基礎に、実践英語の習得を目指して勉強を始めました。最初の2年は迷走でしたが、22歳から音読を中心に、ボキャビル、多読をしてすごく力がついてきて、リスニング力もつきました。
当時のTOEFL PBTをはじめて受けたのが、27歳ぐらいの時でしたが、620点ぐらいだったんですよ(677点満点)。TOEIC換算で940、950点。その2年前にこの瞬間英作文を始めたんだけど、TOEFLスコアはもう同じぐらいだったと思います。TIMEやNEWS WEEKを、買ったその日のうちに読めましたし、リスニングもきれいな英語ならわかったので。

ただ、英語を話す力が全然無かった。単純なことも言えない。「どれぐらい日本にいらっしゃるんですか?」なんて言おうとすると、“How much~”とかね。(笑)
“How much~”は使えないな、それで、“How long”それに続いて“do you”とか言いそうになって。いやいや、期間があるから、“have you”(現在完了形)だ、と。それから“live”って言いそうになって、現在完了だから過去分詞の“lived”だ、という具合で、全部あてはめて考えなきゃいけない。

他のリスニングなんか瞬間的にできていてもね。多読もできるのに。それで、その体たらくだったので何かしなければいけないな、ってことで、このトレーニングを始めたんです。退屈そうだけどしょうがないと思ってやってみた。そしたら、ものすごい効果があって。
僕のような、基礎ができているのに、ただ「話す」ことだけができない人間には、突破口になるんですね。半年で、中学英語は自在に使えるようになった。数少ないブレークスルーでしたね。

後藤:やはりその時に知っていたのは市橋先生なんですか?

森沢:市橋先生はねえ、当時はまだ知らなかったですね。でも、こういうトレーニングがあるのは知ってました。あるいは、シュリーマン(*)って、アマチュア考古学者でね、外国語をいくつも学んだ人なんですが、彼もこうしたトレーニングをやったって聞いてたりね。

(*注)ハインリヒ・シュリーマン…
1822年~1890年ドイツ生まれ。トロイの遺跡を発掘したことで知られる。また、独学で多くの言語を習得したことでも有名。岩波文庫『古代への情熱―シュリーマン自伝―』によれば、多読、暗唱、作文、決して翻訳しない、など独自に学習法を考案して、わずか半年間で英語を習得。その方法を応用してフランス語、オランダ語、スペイン語、イタリア語、ポルトガル語、ロシア語、スウェーデン語、ポーランド語、現代および古代ギリシア語、ラテン語、アラビア語を習得したとされる。

瞬間英作文&音読パッケージシリーズ、それぞれの活用法

後藤:瞬間英作文シリーズは5点ありますが、それぞれどのような違いがあって、どんな順番でやると良いのでしょうか?

森沢:まず、青い本『どんどん』は基本編で、エントリーの本です。このトレーニングの基本で、まず、構成が中1、中2、中3と順を追っていて、各ページ、同じ文型が並びます。例えば1ページすべて不定詞の文型が並ぶ。これだと答えの予想がついてしまいますよね。そこで一歩進んだトレーニングとして、緑の『スラスラ話すための瞬間英作文シャッフルトレーニング』(以下『スラスラ』)があります。同じレベルの中学英語の英文だけど、文型の予想がつかない。不定詞の後に受け身が来て、受け身の後に現在完了が来るとか、文型がバラバラに、シャッフルされた英文が並びます。順番は『どんどん』をやった後に、『スラスラ』をやるのが良いです。
赤い『ポンポン話すための瞬間英作文パターン・プラクティス』(以下『ポンポン』)は、パターン・プラクティスという1950年代ぐらいに流行した方法です。
例えば、「私は英語を学びたい。」を英語にすると

I want to study English. この目的語 EnglishをFrenchに変える。

→I want to study French. 次は、主語をSheに変える。

→三単現のsをつけて She wants to study French.

って具合です。
『ポンポン』は、『どんどん』とか『スラスラ』だとどうしても日本語に引っ張られてしまう、というタイプ(*)の生徒さんに効いたんですね。『どんどん』『スラスラ』で問題なければ使わなくても良いでしょう。

(注*)日本語に引っ張られてしまうタイプ…
日本文と対応する英文を表面的に暗記してしまうと、“作文”することを怠ってしまうので、充分な効果が得られない。また、日本文の内容をイメージ化することがスムーズにできないと、“瞬間的な”作文に支障をきたす。こういった人を「日本語に引っ張られる」あるいは「日本語に振り回されてしまう」と称している。

森沢:それから、『おかわり』の2点はまさに“おかわり”ですね。例えばこの上記の3冊、もしくは『どんどん』と『スラスラ』の2冊をやれば、必ずそこで回路ができるかというと、むしろ完璧な回路はできないで終わることが多いです。同じ文章で何度も繰り返していると、暗記してしまうのでトレーニングにならなくなっちゃうんですよね。だから『おかわり』が必要です。オリジナルの後におかわり、もしくは逆からやってもOKです。

綿引:教えていた教材を本にしようと思われたきっかけは何ですか?

森沢:そのつどコピーしたり、プリントアウトしたりするのが面倒くさかったんでね。本にしちゃえばね。これ買ってって言えば良かったので。でも、綿引さんも僕も、そんなに売れるとは思っていなかったですよね。地味な本だったし。まさかこんなベストセラーになるとはね。

後藤:先生の1冊目の著作『英語上達完全マップ』は、どんなものかお聞きしたいと思います。

森沢:自分の英語学習の体験を書いたものです。自分が学習している時、情報を集めるのにすごく苦しみました。達人の方の学習法でも、心意気や哲学ばかりで、具体的な手順がなかったり。何をどういう手順でやれば良いのかがわかる地図みたいなものが無かった。そこで、こういうものを世に出したいとずっと思っていました。僕の計画はサイトに書いて、かなりのアクセス数を取って説得力を得てから、それを武器に出版社さんに持っていくことでした。構想は20年ぐらいありましたが、書き上げるのはあっという間で、2003年の暮れぐらいに書き始めて2004年の4月にできました。

後藤:この本で、基礎力をつけるトレーニングとして載っているのが、『音読パッケージ』と『瞬間英作文』ですね。『音読パッケージ』はどんなものでしょうか?

森沢:『音読パッケージ』はね、これも、目新しいものは全くなくて、従来からある音声トレーニングです。知ってる範囲内の英語を、音声器官を通じて、耳から入れて、口から出す。
これは外国語を習得する上では生命線です。英語が音声的に言語として処理できるようになります。英語の基礎力がつきます。
これに類することは、英語のプロの、通訳の方なんかは、しゃべりながらやり続けるしね。それを一つのテキストでパッケージにしちゃったと。
上級者だと、シャドーイングはこの本でやって、リピーティングはこっちで勉強して、音読はこっちでやってとか、使い分けをされています。それも必要なのかもしれませんが、初級者とか基礎レベルの人は、その必要はないし、時間もないしね。

綿引:『音読パッケージ』という名前は先生がつけられたんですよね。

森沢:そうです。これも名前があった方がいいでしょう?リテンション(リピーティング)、シャドーイング、テキストを見ながらの音読、こうした音読系トレーニングを同じテキストでやるようにパッケージして『音読パッケージ』ってね。

後藤:最後に、今まさに森沢式トレーニングで勉強されている学習者の方と、これから学習したいと考えている方にメッセージをお願い致します。

森沢:外国語の学習にはゴールはありません。外国語を学習することは、ある意味、見果てぬ夢を追い続けることです。ですから先を見続けることと同時に、折に触れ、来し方を振り返ることも大事です。すると知らぬ間にかなりの距離を歩いているものです。以前できなかったことができるようになっていることに気づくでしょう。そうしたら自分をねぎらい、気を良くしてまた学習を続けましょう。ネィテブ・スピーカーならぬ我々は、いつも英語学習という旅の途上なのですから、その道程そのものを楽しみましょう。

後藤:書店員の方々にもメッセージをお願い致します。

森沢:現場で本を読者に届けてくださるのは、書店の方々ですからね、いつも感謝感激です。1冊でも多く売って頂ければ嬉しく思います(笑)。

綿引、後藤:どうもありがとうございました。

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