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人のためならず

「情けは人のためならず」という言葉があります。
以前、私の祖父がこの言葉についておもしろいことを言っていました。
20年以上も前の、なにげない会話の中でのことなので細かい点は曖昧ですが、おおよそ下記のような内容でした。

最近では、「情けは人の為ならず」という言葉の意味を、「情けをかけることは人のためにならない(ので、情けはかけない方がいい)」と理解している人がいるそうだ。
もちろんこれは間違いで、「情けをかけることは人の為になるだけではなく、最終的には自分の為になる」というのが正しい意味である。
ただ、この正しい意味についても、実は2通りの解釈ができるのではないか。
その1つは、「情けをかけることは人の為になるが、その行為が巡り巡って自分にも何らかの良い結果として返ってくる」という解釈である。
このように理解している人が多いかもしれないが、私はまた別の解釈もあると思っている。
それは、「情けをかけることは人の為になるだけでなく、その心持ち自体が自分自身を幸せな気持ちにするので、自分の為にもなっている」という考えだ。
前者は何らかの見返りを求める心があるが、後者のように物質的な見返りを求めずに行なう精神はさらに尊いものであるように思う。

私は当時、高校生か大学生くらいだったと思いますが、「じいちゃん、なんか壮大な話をしているなぁ」くらいの感想だったのですが、今思うと結構良いこと言ってたな、と感心しています。
祖父もどこかで聞いた話を披露したのかもしれません。その辺も覚えていません。

なぜ急にこんな話をしたのかというと、この話は会社方針を考える上では、結構示唆に富む話だと思うからです。
そもそも「情け」が何を意味するか、ということもありますが、このコラムでは「人に親切にすること」くらいの意味合いで捉えておきます。
会社に置き換えると、「社会貢献」がそれに近いように思います。
正しい意味についての1つ目の解釈は、会社に置き換えると「社会に貢献する事業をすれば、きちんと利益として返ってくる」ということになります。
企業としては利益を求めるのは当然であり、義務でもあるので、こちらの考え方は大変重要です。
他方、2つ目の解釈は、「物質的、あるいは金銭的な見返りを必ずしも求めない」ということになります。
「企業は慈善事業ではないので、見返りは必要だ」という考えもあろうかと思いますが、「見返りはなくても社会のためになることはできるだけしよう」という姿勢は、営利企業であっても大切ではないか、と思うのです。
「見返りがあるかないかわからないが、世の中のためになること」を実行するかの決断を迫られることがあります。
そのときには、大損をしない範囲であれば、できるだけ実行すべきなのではないかと思っています。
私はお金儲けに興味がないわけではない、というか、普通にお金があると嬉しいです。
しかし、それに加えて世の中のためになる仕事ができたら嬉しいと感じますし、ベレ出版は会社としてそこを目指したい(従業員の皆さんもそこを目指してほしい)と思っています。

祖父はずいぶん前に亡くなっているのですが、たまにこの話を思い出します。
あっちから「そういう気持ちを忘れるなよ」と教えてくれているのかもしれません。

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