2025.12.22 NEW 社長コラム 一隅を照らす本 このコラムで以前、私自身の「座右の銘」について書いたことがありますが、会社としての座右の銘というか、大切にしている精神もあります。その一つが「一隅を照らす」という言葉です。 元々、父が折に触れ話していた言葉を引き継いでるものですので、古参の社員は何度も聞いている言葉ですが、特に社内のどこかに貼り出したりはしていませんので社歴の浅い社員は聞いたことがないかもしれません。天台宗の開祖である最澄の言葉がもとになっているようで天台宗のサイトでは下記のように紹介されています。 「一隅」とは、社会の片隅や目立たない場所のことです。つまり、どんな場所でもできることを精一杯やることが、やがて周りを明るくし社会全体を照らす力になるという教えです。 https://www.tendai.or.jp/houwashuu/kiji.php?nid=276 ベレ出版は社員20名程度の中小企業です。20名の会社でできることと、1万人規模の会社では、できることに違いがあります。大きいことがいいこととは限りませんが、大きな会社はそれだけ大勢の人にかかわり、価値を生み出しているともいえます。でも、小さな会社でもできること、あるいは小さな会社だからできることもあります。その価値を受け取る人が多くなくても、その人たちを喜ばせることができれば、世の中は少し良くなります。そんな思いで、小さな積み重ねを大切にしながら、誇りを持って事業を続けていきたいと考えています。 出版でいえば、たくさんの人に読まれるミリオンセラーはそれだけ多くの読者に喜ばれているわけで、当然大きな価値があります。ただ、「読む人は少ないが、読んだ人にはとても喜ばれる」という本もあります。これこそ「一隅を照らす」本と言えるでしょう。 「対象読者が少ないこと」は、必ずしも悪いことではありません。「その本がとても喜ばれること」が重要です。照らす範囲が広い本もあれば、狭い本もありますが、来年も、自分たちなりに明るさを届けられる本を、一冊一冊丁寧に作っていきたいと思います。本年もお世話になりました。よいお年をお迎えください。