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  • 編集部コラム

楽しませてくれてありがとう野坂さん!

最後の最後まで、正にプロの作家魂を忘れなかった野坂昭如さん。

去年12月に85歳で亡くなるまで書いた日記『絶筆』(新潮社発行)を昨晩読み終えました。

2004年から亡くなるまでの日録には飄々とした野坂さん独特のユーモアのセンスが溢れていました。

そして日本の将来を案じる言葉も。「食物を他国に任せて飽食の国を作り上げてしまった」と繰り返し案じています。

飼い猫「アル」と「ニコ」の話は内田百間の『ノラや』を思い出して声を出して笑ってしまいました。

「アル」はアル中から「ニコ」はニコチンから野坂さんが名付けたそうです。

映画監督の大島渚さんをパーティーの席で酔っ払って殴りかかった映像は大島さんが亡くなった時もテレビで流れたのですが、

それを野坂さんがテレビで見て「あれは何度見てもおかしい」と言うのもなんだかおかしい。

書店の店頭で「絶筆」というタイトルを見たときには晩年の闘病生活が浮かんでちょっと怯んでしまったのですが、

最初から最後まであっぱれな作家魂を見せてくれました。

本屋さんでこの本に出会ってよかった。

CMに出てた時も、歌手として破天荒な歌詞を歌っていた時も、討論番組でも出てくるだけで笑わせてくれていましたが、

一番の魅力は「サングラスの下の含羞」「繊細な優しさ」の佇まいでした。

最後に、野坂さんの持ち歌「花ざかりの森」の歌詞の一節、

春は夏に犯されて/夏は秋に殺される/秋は一人で老いぼれて/ああ冬が皆を埋める/

を改めて読んでその過激さに妙な郷愁を覚えました。

ワキヤマ

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