コラム

ぶかぶかのベレー帽

いつか、きっと。

次の一歩をどこに置くか、右足の次の左足をどこに置くか、そしてまた次の右足を……。山歩きでは常に足元の土、石、岩を見つめ、注意しながら黙々と歩みを進めていきます。登りも下りも同じです。気を抜けば転んで足首をひねり、歩けなくなるかもしれません。これを何時間も続けます。登山地図のコースタイムを見ると気が遠くなることもあります。登山口へ向かう車窓から仰ぐ山の頂は、とてつもなく遠く見えます。あんなところに辿り着けるのだろうか、という思いと一緒に一歩目を踏み出すのです。

『ガロア理論の頂を踏む』という本があります。偉大な数学と登山はどうやら似ているところがあるようです。遥か遠くの頂に向かって一歩一歩を進めていきます。コースの違いはあれど、近道はありません。しかも登っている間は頂上などほとんど見えません。でも小さな一歩を重ねていけば、いつかいつか、頂上に辿り着ける時がくるのです。きっと。

今年は山形の月山、湯殿山を縦走してきました。高さはそれほどありませんが、美しい、神々の山でした。無心で歩いているうちに、前日まで苦しめられた口内炎は、いつの間にか気にならなくなっていました。

バンドウ

2019年10月21日

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