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棚管理のキホン その1(2022年8月号アーカイブ)

ベレベレ通信web版キホン1

本記事は書店向け情報紙「ベレベレ通信 2022年8月号」に掲載した記事をWEB用に再構成したものです。


今回は棚管理について、管理方法のキホンをお伝えします。まずは前半からどうぞ。

書店の方々から学んだことと、そこから考えたこと

棚管理のキホン その1

ベレベレ通信では書店様に役立つ情報を発信しようと創業以来努めてきました。その中で、棚管理や棚作りなどのヒントになればと様々な提案もしてきました。

昨今の書店現場の厳しい環境の中で、いろいろな制約が出たり、合理化されたりして、棚管理においても以前はできたことが難しくなったりしています。それでも、基本的な考え方は変わらないのではと思い、改めて棚管理で必要な基本的なことをまとめてみました。

業界の事情はお客様には関係のないことです。まずは、お客様の需要に応え、地域の方に文化的な発信をすることが最も大事です。書店業務に関しては素人ではありますが、書店の皆さまとお客様のためともに、今後も努力していきたいと思います。

1.基本の徹底:売り場環境を整えましょう。つねに整理整頓!

開店前に棚整理、帰る前も棚整理。お客様が心地の良い売り場を保ちます。カバー、帯がズレていたら直します。ズレたままだと、カバーが破けてしまいますよね。カバーが破れていたら返品して再発注します。帯は破れていたら外して捨てます。スリップが飛び出していたら中に入れます。分野ごとに分けた上で、その中でなるべく判型は揃えます。きれいに揃えると見栄えが良くなります。

棚の並べ方は左から右、上から下が基本です。選びやすいように関連ジャンルを順に並べます。巻数や上中下、レベルなどに気をつけます。人の目線が左から右に流れることから、エンド台、フェア台の一番手前の左が良い場所なので、最も売りたい本をそこに並べると効果的です。

棚下ストックは常に整理が必要です。返品率の問題やお店によって管理の仕方は違いますが、基本は余計なストックは持たず、常に整理整頓しておきたいものです。棚回転の良いものを複数冊で回したり、よく品切れする出版社の本を押さえたりといった攻めのストック活用は良いと思います。

波平さんが誠意整頓しているところ

2.品揃えの仕方:回転率至上主義ではお客様の満足は得られません!

回転率の良いものだけ揃えていれば売上は上がるのでしょうか?驚かれる方もいらっしゃるかもしれませんが、回転率だけで品揃えをしては、売り上げは下がります。回転率が良いものを揃えること自体は良いことですが、大事なのは棚全体で商品バラエティを富ませながら、バランスよく品揃えすることです。同じような本ばかりではつまらない棚になってしまいます。そんなに売れないけれど需要のある本が重要です。そうした本があるから棚の魅力が出るのです。

定価の高い本、分厚い本、レベルが高そうな本は売れないから置かないという方がいます。

本当にそうでしょうか? 読者のニーズを捉えた本は売れます。近年では、『独学大全』(ダイヤモンド社)が売れました。語学書でも900ページを超える『真・英文法大全』(KADOKAWA)が売れています。ベレ出版でも『語りかける中学数学』(三訂版は856ページ)は累計20万部を超えています。こうした高価格の厚本は、単価が高いので売上に貢献するだけではなく、お店への信頼感を生み、お店のファンを増やすことにつながります。

ジャンルプレートはぜひ活用したいものです。お客様が選びやすくなるように、適度な量のプレートが良いですね。品出しも迷わず効率が上がりますし、発注者以外の方が棚入れをする時にも作業がしやすくなります。また、ジャンルプレートは、変化するものです。その時々に、話題のカテゴリーを用意するのも良いでしょう。

本の力

3.並べ方:関連書を並べましょう。

売れる本、売れるテーマがあったら、一緒に並べる本は類書ばかりではだめです。関連書を並べることが大事です。よくあることですが、ヒット作が出ると似たような本が続けて出版されます。元の本を超える良い本が出たら読者のためになりますが、実際には、内容を薄めただけの本だったり、急きょ作った特徴の無い本だったりします。こうした似た本ばかりを並べてもお客様のためにはなりません。

同じテーマを別の観点、別の立場から書いている本や、そのテーマの内容理解につながる隣接分野の本を並べるとまとめて買ってくれる可能性が高まります。また、展開にバリエーションが出て魅力が増します。例えば、決算書の読み方の本を集めて展開するとします。社長が読む本、経理が読む本、常識として知っておこうという入門者が読む本は違います。いろんな用途の本を並べたら良いでしょう。

4.コーナー作り:仮説からテーマ設定、展開から検証まで

その時々に世間の方の関心に合うテーマを決めます。最近でしたら、ウクライナ・ロシア関連でしょうか。自店の客層を分析した上で、どこでも売れている本をまず揃えます。これに自店の客層と購買動機を考えながら肉付けします。入門、初級者、中上級者では、求める内容は違いますし、趣味で読みたい方と専門家でも、一般大衆層と教養人でも求める本は違います。

例えばウクライナ・ロシアについて、テレビやネットのニュースから関心が広がりました。歴史、政治経済、地域事情書、旅行書などはまず思い浮かぶところですが、『てぶくろ』のようなウクライナ民話の絵本や、語学書、料理書なども売れていましたし、地政学への関心にもつながりました。エリアとしてもベラルーシ、モルドバ、ポーランドに加え、NATOの話からフィンランドやスウェーデンにも関心が広がりました。そして、地図帳も一緒に置かれて売れていました。ニュースを見ながら確認したくなるのでしょうね。

仮説からテーマを設定したら、コーナーを提案し、なぜそれを必要とするのか、どのように置くのが良いのかを考えて読者に提案する売り場を作り、売れるかどうかで実際に仮説が正しかったのかどうかを検証します。こうした考え方は、フェアの考え方にもつながります。売れる本からテーマを決めて関連書を並べれば立派なフェアになりますよね。

波平さん、テーマを決める

5.平積みの考え方:平積みはこまめに見直しましょう!既刊本の掘り起こしをしましょう!

平積みは「お客様を飽きさせない」ことが大事です。商品構成の見直しも大事ですが、置き場所を変えるだけでも見え方が変わります。商品構成の見直しではぜひ既刊本の掘り起こしをしてください。

個々のお客様にとっては「出会った時が新刊」です!ロングセラーはたくさんの方に支持されてきた実績のある本です。トレンドが変わって時代遅れにならなければ、まだまだ売れます。特に語学書のような実用的な需要のあるジャンルでは、一部のベストセラーになる新刊を除けば、新刊よりもロングセラーの方が売れます。いざという時に入れ替えをするための信頼できるロングセラーリストを作っておけば、売上が上がるとともに、お客様に棚への信頼感も与えることができます。

平積みの本が売れて減った時はどうするのが良いでしょうか?棚に差して新刊を積みますか?こうした場合、まだ売れるのではと考えて、補充の検討をします。売れ方がゆっくりだったから売り切ろうとか、話題に上らなくなったから外そうということももちろんあります。でも、まずすべきことは、売れていない、売れる見込みの少ない本の方を返品することです。まだ売れそうな本は、補充して平積みを継続しましょう。

後半『棚管理のキホン その2』に続きます。

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