書籍詳細

その日常、地理学で説明したら意外と深かった。―街と地域を知るための5つの物語
物語を通して、身近に潜む「地理学」を学ぶ

その日常、地理学で説明したら意外と深かった。―街と地域を知るための5つの物語
著者名
富田啓介
ISBN
978-4-86064-686-8
ページ数
359ページ
サイズ
四六判 並製
価格
定価1,870円 (本体1,700円+税10%)
発売日
2022年03月14日発売

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内容紹介

人は土地に住み、その地域の自然環境やそこで育まれた多様な文化的社会的関係の中で生きています。ふだん人はそのようなことを深く考えることなく暮らしていますが、じつは地理学的な視点で見てみると、どの地域にも固有の歴史文化や自然があることがわかります。本書ではそうした地域や自分が住む街のことを知るべく、物語で描かれる日常に即して地理学的な視点や考え方を紹介します。各章は物語パートと地理学の解説パートで構成され、何気ない日常を地理学的に解き明かしていきます。物語はとある家族が都市郊外の団地に引っ越してきたことからはじまります。この地域で起こる不思議な出来事の背景には何があったのか? 土地に刻まれた自然と人々の歴史が、時空を超えて織り成す感動のミステリーを楽しみながら学べる一冊です。

著者コメント

(「はじめに」より)

 あなたにとって、一番大切な場所はどこでしょうか?
 生を受けた場所、最愛の人にプロポーズをした場所、遠い望郷の地。皆さんそれぞれに、かけがえのない場所があると思います。しかし今、あなたが生きていくうえで欠かせない基盤となっているのは、目下暮らしている場所ではないでしょうか。そこでご飯を食べ、仕事や勉強をしながら、大切な人生の日々を費やしているのですから。
 私たち人類の多くは、住まう場所を決め、その限られた範囲で日常を送っています。地球表面の一部、すなわち地域に、しがみついていると言ってもよいでしょう。地域には、あなたのほかにもたくさんの人々の暮らしがあります。また、山や川といった固有の自然環境もあります。私たちは、そうしたものに包まれ、影響を受け、また、影響を及ぼしながら生きているのです。
 この地域というものを自然・社会の区別なくまるごと捉え、そこで何が起こっているのかを見つめる活動が、地理学では行われています。そもそも地理学は、地表面のあらゆる物事を対象に、 「どこに何があるか」を明らかにする分野です。その延長として、ある物事が「なぜそこにあるのか」を突き詰めていくと、大抵、地域ごとに特色のある自然や社会の営みの中に答えが見つかります。ですから、自然や社会の集合体である地域は、地理学における重要なキーワードの一つに挙げられます。この本では、このような観点から、地域に焦点を当てて、地理学の基礎的な考え方や調査手法を紹介してゆきます。また、現代日本において興味深いトピックも、地域との関わりの中で考えていきましょう。
 地域の身近なところに、地理学的なテーマが溢れていることを感覚的かつ具体的に理解していただくため、この本の各章は三部構成になっています。まず「物語」で、地方の住宅団地に引っ越してきたある一家の体験を聞いてください。続く「地理の目」では、物語に織り込んだテーマについて地理学の視点から理解を深めます。章によっては「地理学ではこんな手法で地域を明らかにしていく」といった情報も盛り込みました。地理学の調査の内側も覗いてみてください。最後に、 「ちょっと寄り道」をしましょう。これは、章のメインテーマではないけれど、物語の進行の鍵となるような地理学的トピックについて、筆者の個人的経験も交えながら余談風に書いたコラムです。
 では、各章の内容をざっと眺めておきましょう。
 第一章では、地域とそこに暮らす一人ひとりとの関わりに焦点を当てます。具体的には、ある地域を選んで住むということ、そして、その場所を知ることについて考えていきましょう。
 第二章では、地域を理解して、住みよい安全な街をつくっていくことに焦点を当てます。 「地理の目」では、その有効な手段として、様々な地図の紹介と活用についても解説します。
 第三章では、地域ごとに育まれた文化の多様性の一例として、身近な野菜に注目します。現在は失われつつあるその多様性を地域づくりに活かそうとする動きについても見てゆきましょう。
 第四章では、地域を深く理解するために、その辿った履歴を知ることや、その手段として地理学でよく行われる「聞き取り」について焦点を当てます。
 第五章では、今日の日本の地域社会で大きな課題となっている異文化理解について取り上げます。特に宗教の多様性、中でも日本になじみの薄いイスラム圏の人々との交流について地理学的視点から眺めてみましょう。
 ……さて、そろそろ「ちがや台」という都市郊外の団地に、物語の主人公である高原さん一家が引っ越してきたようです。何だか忙しそうです。これから何が起こるのか、ご一緒に見届けましょう。

著者プロフィール

富田啓介(とみた けいすけ)

1980 年愛知県生まれ。2009 年、名古屋大学大学院環境学研究科修了。博士(地理学)。名古屋大学大学院環境学研究科研究員、法政大学文学部助教を経て、現在、愛知学院大学教養部准教授。専門は自然地理学、特に地生態学。主な研究テーマは、里地里山における人と自然の関わり、ため池・湧水湿地をはじめとする生物生息地の成り立ちの解明と、その保全・活用。主な著書に、『里山の「人の気配」を追って』(2015 年、花伝社)、『はじめて地理学』『あれもこれも地理学』(2017 年、2020 年、ベレ出版)がある。趣味は山歩きと畑仕事。小学生の双子と保育園児に振り回される父親。

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