コラム

ぶかぶかのベレー帽

『鬼滅の刃』の魅力

このコラムを書いている12月中旬、映画「鬼滅の刃―無限列車編」が、歴代興行収入1位の「千と千尋の神隠し」を抜きそうだとの報道が世間を騒がせています。私もその売り上げに貢献した一人ですが、今年はコロナ禍にもかかわらず、『鬼滅の刃』のおかげで書店の売上もまずまずと聞きます。なぜこんなに売れているのでしょうか? 個人的な感想を述べると、読者の心をつかむ要因の一つに、“悪”である鬼の背景が丁寧に描かれていることが挙げられると思います。人間であった頃に受けた理不尽な境遇ゆえに鬼となってしまった哀しみに同情すらしてしまうのです。単なる勧善懲悪の物語ではありません。アニメ版の神回と言われる19話も素晴らしかったですが、そのあとの21話の累の過去に涙してしまいました。そして、もう一つの注目点は、主人公たちの高潔さ・優しさ・責任感です。炭治郎の優しさや煉獄さんの高潔な責任感は、嘘つき政治家や匿名で他人を叩いて死に追いやるような卑怯者が跋扈するこの世の中においては、とりわけ清々しく感じます。

煉獄さんの母も言います。「天から賜りし力で、人を傷つけること、私腹を肥やすことは許されません」「弱き人を助けるのは強く生まれたものの責務です」。煉獄さんはこの言葉に応えるように「俺は俺の責務を全うする」と命を擲って戦います。致命傷を負いながらも諦めずに信念を貫く姿に、心が震えました。その根底には、できることなら自分も煉獄さんや炭治郎のようにありたいという気持ちがあるのかもしれません。現実は理不尽なことばかりですが、高潔な生き方に希望を見出せる世の中にしていきたいですね。

モリ

2021年01月25日

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