2026.01.26 NEW 編集部コラム 推し活文化はいつから?—200年前から続く「推し」の歴史 いまや「推し活」という言葉を聞かない日はありません。アイドルやアニメ、VTuber、俳優まで、私たちはあらゆる対象を「推す」時代を生きています。では、この文化はいったいいつから始まったのでしょうか。 実は、名称こそ新しいものの、推し活そのものは200年以上前から続いているという見方もあります。ルーツとされるのは、江戸から明治にかけての歌舞伎役者への「贔屓」文化です。人気役者の浮世絵を買って集める行為は現代のグッズ購入に近く、舞台を見に通い、差し入れを届ける習慣は、まさに推し活の原型でした。昭和に入ると映画や歌謡曲の発展によってスター文化が広がり、俳優のブロマイドを集める人々や宝塚歌劇団の熱心なファンが生まれ、「推す」という営みがより一般的になっていきます。1970年代のアイドルブームでは、キャンディーズの解散コンサートが象徴するように、ファンの熱量が社会現象として語られるほどでした。 さらに1980〜90年代にはアニメやゲームの人気が高まり、キャラクターを推す「二次元推し」が定着。コミケの拡大も追い風となり、好きな世界を共有する文化が大きく育ちます。2000年代に登場したAKB48は総選挙や握手会など、推しへの貢献が可視化される仕組みを生み出し、推し活をより能動的かつ参加型のものへと変えました。SNSの普及でファン同士がつながりやすくなり、応援の輪が世界規模に広がった現在、その最前線にいるのがK-POPです。多言語で展開される音楽、緻密なパフォーマンス、グローバルな交流を支えるSNS文化など、K-POPは推し活の集大成といえる存在になっています。 「今の推し活」が過去と異なると私が思うのは、推しを恋愛対象ではなく「憧れ」や「人生の支え」として捉える点にあると思います。実際、推し活を通して「自己肯定感」が高くなったという研究調査もあるようで、推し活は単なる娯楽ではなく、「生き方」や「価値観」にも影響を与える存在に進化したと思っています。そして、どれだけ時代が移り変わっても、「誰かを応援したい」という衝動だけは揺るがない。むしろそれは、時代を越えて私たちの背中をそっと「オシ」続ける、普遍のエネルギーなのかもしれません。 ミシマ