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  • 著者のコラム

イラストで、学んで、遊んで・・[2]

著者 すずきひろし(英語講師・イラストレーター)

4月新刊『語源とイラストで覚える理系英単語BOOK』のすべてのイラストを描いたすずきひろし先生の連載です。英語講師、著者、そして語源のイメージをイラスト化するイラストレーターでもある、という特異な存在のすずき先生。第2回は、「イラストが、単語のほんとうの概念(イメージ)をこころに響かせ定着させる」、というお話です。

第2回 イラストができるまで/「こころ」への直結

今回は頭に思い浮かんだことをどうやって書籍にするかのお話をします。

かたい理屈を考えて、それを柔らかく表現する

私は徹底的に「なぜ」を考えます。技術者として何十年も、現象や故障の原因などの「なぜ」や「理屈」を考え続けてきましたが、英語の図解化を考える際にその経験がうまく機能します。

単語であれば、複数の語源辞典の表現を見比べたり、複数の英英辞典や英和辞典の用例を書き並べ、またGoogleなども使って分析することも多いです。そうやって調べたことや思いついたことを「ネタ帳」に書き出します。英文法や語法であれば、なぜそうなるのかを考え続けて、分かったことを書き出します。どう表現したら理解されやすいのかを追求します。ネタ帳はこんな感じです。

ネタ帳1
ネタ帳2

ネタ帳は非常に大切です。イラストというのは何度描き直しても、最初に描いたメモに勝るものはなかなかできません。1秒くらいで瞬間的に描いたものがいちばん正確です。最も「こころ」に近い「直観」だからです。意識しすぎるといいものはなかなか描けません。より面白いものにするために、「かたい理屈」を「柔らかい頭」で考えて、それを「ゆるい」イラストの形で描き出します。

「理屈は左脳、イメージは右脳」などと言われますが、私は「理屈を右脳で考える」というようなイメージでやっています。

イラストは「簡素」が命:ポイントを「こころ」に直結させる

学習書でのイラストは、前にも書いたように「挿絵」でなく「図解」でなければなりません。イラストレーターとしてのテクニックや表現の主張は不要です。できる限り簡素にし、それによって一番大事なポイントに読者の焦点が当たるようにしなければなりません。

ほかの著者が「ことば」で明示化する内容を、私はイラストで明示化します。言語を介するのではなく、読者のこころに直接結びつけてそれを理解してもらうことが私のゴールです。「こころに直結させるための表現」をいつも考えています。

著作の中でのイラストの役割

著作のレビューを見ると、ほとんどが肯定的なのですがほんの一部に否定的なものもあり、その人たちには「イラストの目的が理解されていないな」と感じることがあります。

例えば英単語を理解しようとするとき、多くの人は「訳語」で認識します。dogくらいの易しい単語でしたら、「犬」という訳語を介さずとも、あの動物の「実体イメージ」が頭に浮かびます。ところが覚えたての英単語というのは一旦「訳語」で頭に保管します。実際にその単語を文章の中で出会ったとき、一旦「訳語」で引き出して、それを「実体」に変換して「こころ」に伝えます。一旦日本語に変換するという余計な過程が入ってしまうのです。その訳語が理解し難かったり、訳語がたくさんある場合(つまり多義語であったりする場合)に、その変換の負荷はさらに高くなり、時間もかかってしまいます。

英単語理解のイメージ図

「まるおぼえした方が早い」と思う方もいると思いますが、確かに「明日の単語テスト合格」をゴールとするならばそうかも知れません。でも、「使えるようになる」ためには「こころへの直結」をしなければなりません。「訳語を覚えるためにイラストが助けになる」のではありません。「訳語で覚える」がゴールではなく、「単語のほんとうの概念(イメージ)をこころに響かせ定着させる」、つまりdogレベルの語にするのがゴールであって、そのために訳語と語源とイラストが力を合わせて機能するのです。

英単語理解のイメージ図

次回は、私のイラストの描き方について書いてみます。なぜ一冊あたり1000枚近くのイラストが描けるのでしょうか。その秘密がわかるかも知れません。


記事を書いた人:すずきひろし

神奈川県生まれ。英語講師でイラストレーター。外資系機械メーカーでグローバル製品の開発に技術者として20年以上携わり、現在は相模原市に開いた「おとなのための英語塾」やカルチャーセンターで初歩の英語やビジネス英語などの講座を持つ。英語の文法や単語の意味をイラストを使って楽しくわかり易く明示化することを得意とし、ベレ出版『使い分けBOOK』シリーズでは各々500カット以上の説明図解イラストを自ら作成したほか、『英単語の語源図鑑』(共著・かんき出版)や『50歳からの語源で覚えて忘れない英単語1450』(PHP研究所)では英単語の語源と意味をイラストで表現している。著書はほかに『やさしい英単語の相性図鑑』(ソシム)など。実務書用などのイラスト製作も手掛ける。

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