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イラストで、学んで、遊んで・・[最終回]

著者 すずきひろし(英語講師・イラストレーター)

4月新刊『語源とイラストで覚える理系英単語BOOK』のすべてのイラストを描いたすずきひろし先生の連載です。英語講師、著者、そして語源のイメージをイラスト化するイラストレーターでもある、という特異な存在のすずき先生。最終回は、「何歳でも努力をすれば必ず人は向上する」、いますぐ夢に挑戦したくなるお話です。

第4回(最終回)何歳からでも夢は叶う

「芸人に映画監督ができるのか?」そんなことが言われることがかつてありました。

塾の講師をしていると、「イラストレーターが教える英語が信用できるか」と思われる場合があるようです。

でも、前回まで経緯を書いてきたように、私の場合は「英語を追求する中で、方法としてのイラストの腕が上がった」のです。歳をとってからでも、腕は上がります。夢だって叶うということをお話しします。

幼少時の夢

ある出版社の方に「イラストを描き始めたのは最近です」と言ったところ、とても驚かれました。「ただ、子どもの頃は描くのが好きでしたけどね」と言うと「少し安心しました」と言われました。

そう、子どもの頃は絵ばかり描いていて、家じゅうの紙(包装紙、広告の裏、紙袋)はすぐに私の絵で埋まってしまい、家は紙不足状態でした。ときには家具にまで描いてしまい、親に怒られました。周囲も自分も、何か絵を描く仕事に就くのだろうと、当然のように思っていました。当時「将来の夢は?」ときかれたら「イラストレーター」と答えました。

中学生になって、現実が見えてくると、絵では食っていけないだろうと考えるようになり、一転サラリーマンを目指しました。以降、絵を描く機会は年賀状くらいに限られてしまい、そのまま50歳近くになりました。

そこから第1回で書いたように、PowerPointでの描画が始まったのです。目的は、ことばでは説明できない「英単語や英文法の明示化」です。それをするうちに、どんどん器用になって、今ではイラストだけでの仕事がもらえるようになりました。

はからずも、「イラストレーターになる」という夢が、40年越しで叶ったわけです。

挑戦と進歩

描き始めの時は下手でした。2016年に出した『イメージと語源でよくわかる 似ている英単語使い分けBOOK』のイラストもまだまだです。Asahi Weeklyのコラムのイラストを2年前から描いていますが、いまから見ると2年前のイラストは今よりちょっと「下手」ですね。

これは50歳を過ぎても日に日に技術は向上しているということを表しています。10年間のイラストを並べてみました。

⏬イラストの変遷

イラストの変遷

だいぶ進歩したでしょ?

数年前はある出版社に「あなたのイラストはクオリティが低い」などとストレートに言われ、悔しい思いもしました。

歳をとっていても進歩するというのは、英語を含めてほかの学問やスポーツなどでも同じだと思います。人間の能力の向上はその気があればいつまでも終わらないと思います。私の場合、「それまで描けなかったものを描こうとする挑戦」が少しずつ能力を向上させてきました。

そう、向上というものは、目の前にある課題への挑戦の繰り返しの結果だと思います。イラストだって英語だって、挑戦の繰り返しによって、私はまだまだ伸びるつもりです。

最後に言いたいこと:夢は叶う

私は40年越しに「イラストレーターになる」という夢を叶えました。同時に「自分の本を出版する」という夢も叶えました。

50歳を過ぎてです。

ちなみに上の2021年のイラストは、中学校で使われるワークブックのイラストです。明治図書出版さんに声をかけていただき、「学校の教室で使われたい」という夢まで叶いました。

私が英語を教えている生徒さんの最高齢実績は85歳。別の70歳代の方は「恥ずかしいから」と家族に内緒で「ゼロ」から英語を勉強し始めて、今は中3レベルに達しました。

何歳になっても、好きなこと、したいことをすればいい、挑戦すればいいと私は強く思います。

必ずしも英語がペラペラになる必要などないと思います。英語を話す機会が実際にあるかなんて関係ありません。挑戦してみて、きのうよりも少しだけでもできるようになれば、とても幸せじゃないですか。

できないことを数えて頭をかかえるより、できるようになったことを数えれば、努力は続けられます。「できるようになる」「わかるようになる」という感動を積み重ねる。生涯学習の意味って、そういうことだと思います。

夢は大きい方が良いけれど、でも別に大きな夢である必要はありません。「この英語の本のこのページが読めるようになりたい」「このフレーズを英語で理解したい」などという、そんな小さな夢でもいいじゃないですか。小さくても夢は夢。その夢は小さな挑戦の積み重ねで、きっと叶います。

私はこれからも著作を通して、読者の方々が夢を叶えるお手伝いをしていきたいと思います。私の夢は、自分の著作が助けになって、読者の方々の夢が叶うことです。

ということで私の4回のコラムはおしまいです。どうもありがとうございました。

すずきひろし


記事を書いた人:すずきひろし

神奈川県生まれ。英語講師でイラストレーター。外資系機械メーカーでグローバル製品の開発に技術者として20年以上携わり、現在は相模原市に開いた「おとなのための英語塾」やカルチャーセンターで初歩の英語やビジネス英語などの講座を持つ。英語の文法や単語の意味をイラストを使って楽しくわかり易く明示化することを得意とし、ベレ出版『使い分けBOOK』シリーズでは各々500カット以上の説明図解イラストを自ら作成したほか、『英単語の語源図鑑』(共著・かんき出版)や『50歳からの語源で覚えて忘れない英単語1450』(PHP研究所)では英単語の語源と意味をイラストで表現している。著書はほかに『やさしい英単語の相性図鑑』(ソシム)など。実務書用などのイラスト製作も手掛ける。

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