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  • 著者のコラム

「小学英語」こどもが自主的に学ぶ教材とは?

著者 石井辰哉(TIPS English Qualifications代表)

『CD BOOK 博士からの指令! ナゾ解き小学英語〈1〉〈2〉』(べレ出版)の著者、石井辰哉先生に、この本を書くきっかけになったこと、そして、どんな想いを込めて書かれたのかを詳しく語っていただきました。

「英文法は楽しくて役に立つもの」と思ってもらうための教材です

子供が英語を楽しく学び、好きになるためには、次の2つのポイントが最も大切だと考えています。

ポイント1 学習そのものが楽しいこと

これは、テレビゲームをするのと同じですね。子どもたちはなぜゲームが好きなのか、それは、単純にやっていて楽しいからです。つまり、英語の学習もそれ自体が遊びのように楽しければ、無理にやらせなくても自発的に取り組んでくれるはずです。

本書では、ナゾ解き形式を取り入れることで、楽しみながらクイズを解いていくうちに、知らず知らずのうちに文法や英文の作り方が学べます。すでに、本書を「子供があっという間に読んだ」という報告も頂いており、読むだけでも楽しく作っています。

ポイント2 覚えたり練習したりするといいことがあると実感できる

これは、カードゲームのルールを覚えたり、カードごとの特性や組み合わせを考えたりするのと似ています。カードゲームが好きな子どもたちは、実は、友達とプレイしている時間よりも、一人でデッキを組んだり、あれやこれや考えたりする方に時間を費やしています。これは、それ自体が楽しいだけでなく、そうすることで友人に勝てるようになるという、いわば「いいこと」があるからです。

英語で「いいこと」とは何でしょうか?それは、「ペラペラ」話せることです。新しいことを学んだら、今まで言えなかったことが言えるようになります。問題は、これをいかにして実感してもらうかですね。

そのために必要なのは、話せることを目的に文法を学ぶこと。そこで、本書では、書いて覚える練習や読む練習をカットし、たくさんのスピーキング練習を収録しました。学んだ文法を使って、文を作って本当に話すように口に出してみてください。何度も繰り返せば、実際になめらかに言えるようになります。そうなれば楽しいですし、学校の授業でもペラペラ話せるとわかれば、ますます、練習に身が入ります。もし、英会話のレッスンに通われているお子さんなら、先生にほめてもらえるかもしれませんね。

カードゲームができれば英語もできます

一般に子供は物覚えが早いとよく言われます。たしかに、複雑なテレビゲームやカードゲームのルールをあっという間に習得したり、無数に出てくるモンスターの名前や必殺技を苦もなく覚えたりして感心するというのは、多くの親御さんが経験のあることでしょう。同時に、なぜその力を学校の勉強に活かせないのかと悩みもするのですが……。

もちろん、ゲームは遊びで、勉強は勉強だからということもあります。ですが、実は、覚えて理解しなければならない情報量を比較すると、ゲームと小学校~中学1年生で学ぶ英語では、それほど差があるわけではないのです。

たとえば、モンスターの名前を覚えて、さらにその必殺技や属性を覚えるのと、英単語の意味や品詞を覚えるのは、単純な情報量としては似たようなものだとは思いませんか?

さらに言えば、「この技とあの技を組み合わせて使えば、こんなすごい呪文が発動できる」ことを覚えるのと、「likeと動詞のing形を組み合わせれば、『~することが好きです』の意味になる」と覚えるのも、記憶する量や情報の複雑さとしては、あまり変わりません。

小学生から中学一年生までに学ぶ文法は、実はそれほど多くはありません。やる気になりさえすれば、問題なく習得できるはずです。そして、やる気にさせる仕掛けが本書には仕込んであります。

子供は文法嫌いではありません

大人でも英語が苦手な方にとっては、文法はつまらないものに感じるようです。だからといって、子供も文法を嫌がると思い込んではいませんか?確かに、受験勉強のようなやり方だと、英語自体を嫌いになるかもしれません。しかし、小学校ではそのようなやり方では文法は教えませんし、そもそも、コミュニケーション主体で、文法を詰め込み式で学ぶわけではないのです。

逆に言えば、まだ文法に対しては真っ白な状態です。正確には「まだ」文法嫌いになっていない状態です。好きになるか嫌いになるかはこれから次第。今のうちに、楽しく文法を学べば、「文法はつまらない」という先入観なく、これから始まる英語との長い付き合いに、前向きに取り組みやすくなるはずです。

中学生になる前に「文法は役に立つ」と思えれば最高

小学生の英語は、あくまでコミュニケーション主体の授業ですが、中学生からはきちんと文法を学ぶことになります。「楽しい」とか「通じればいい」ではなくなるのですね。このため、小学生から中学生に進学すると、英語の授業に戸惑ったり、苦手になったりする子供もいるようです。

大切なのは文法に対する姿勢です。「単なる暗記」ではなく「覚えればペラペラになれる」とか「難しいことでも言えるようになる」といったポジティブな感情を抱けば、中学以降、難しい文法や構文が出てきても、コミュニケーションの道具として学びやすく、その分だけ前向きになれるのです。

小学生が1人で学べる『博士からの指令!ナゾ解き小学英語1・2』を書いた理由

私が本書を書きたいと思った直接の原因は、自分の息子に英語を教えていたときに、小学生が楽しく文法を学べる本、あるいは自発的に読みたくなるような面白い学習書がないと思ったことです。

小学校低学年ぐらいだと、イラストカードを使うなどして、ゲームとして楽しく学習できます。うちもそうでした。ところが、単語を覚えて、さらに挨拶の仕方など定型文を覚えてしまった後、はたと困ってしまいました。自分の言いたいことを言えるようになるためには、ある程度の文法を教えるしかないのですが、その当時、きちんと文法に向き合い、同時に小学生でも楽しくわかりやすく読める本がなかったのです。小学生向けの本は、文法がタブーであるかのように説明しないですませますし、中学生の文法の本だともう堅苦しい参考書ばかりでした。

しょうがないので、息子が小学5年あたりから、中学生の参考書を使いつつ、私がわかりやすくして子供に説明していました。この時の説明の仕方が本書のもとになっています。たとえば、品詞と文型をわかりやすくするために図形とパズルに置き換えるというのは、普段の大人向けのレッスンでもう二十年ほどやっているやり方ですが、さらに噛み砕いて小学生でも理解できるようにアレンジしています。

これに加えて、本書では説明を読んで理解する前に、「ナゾ解き」と称して、自分で文法を発見するという手法を取り入れています。英文を読んで、英語にはどんなルールがあるのかを自分で見つけ出すのです。単に人から教えられるよりも興味がわき積極的に取り組めて理解が深まりますし、英語の考え方も実感しやすくなります。クイズやなぞなぞが大好きなお子さんなら、きっと楽しんでいただけることでしょう。


記事を書いた人:石井辰哉(いしい たつや)
1969年生まれ。関西学院大学文学部卒業。TIPS English Qualifications代表。半年間でTOEIC 500点強から900点まで伸ばした自身の経験と独創的なメソッドを生かし、驚異的なスピードで受講生の英語力をアップさせている。計2年近くにわたるイギリス語学留学の経験から、単なる知識の詰め込みではなく「使える」英語の習得を信条としており、小学生から成人まで、日本各地から入学する熱心な受講生が多い。
取得資格は、TOEIC 990点(満点20回以上)、ケンブリッジ英検特級(CPE)、実用英検1級。
著書は30冊以上あり、『イラストだから覚えられる 会話で必ず使う英単語1100』(クロスメディア・ランゲージ)、『文法・構文・構造別リスニング完全トレーニング』(アルク)など。

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