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  • 著者のコラム

【英語学習のスパイス #3】

著者 Evine(恵比須大輔)

第3回:自然な英文法の学習法

Hi、皆さん、Evineこと恵比須です。
前回は「自然な英単語の学習法」をご紹介しましたが、今回は、語彙や英文法の知識を活かす「自然な英文法の学習法」です。

英文法の学習は皆さんもイメージがつきやすく、やりやすいジャンルではないでしょうか。特に中学英文法はTOEIC対策としても有効で、社会人になって一度は復習した方も多いことでしょう。

英文法の学習をある程度進めても、 多くの方が実感されるのが、文法知識を得るのと使うのとは別物だということです。
せっかく中学英文法を整理しても、いざ実際の会話の場面や英文を書くときに運用・応用できなければ意味がありません。

コア英文法クイズ(Q1~3)

早速ですが、中学英語の運用・応用力を試すクイズを3つ出題していきます。正解がわかっても根拠をぜひ考え、英文法をどのような視点で学べばいいのかを一緒に考えてみましょう。

Q. 1 次の日本語を相手に伝えたい場合、自然な英語で発信してください。
「明日は私たちの結婚記念日だ」

「明日」=未来の表現と考え、willを用いると、それぞれ次のようになるでしょうか。
Tomorrow will be our wedding anniversary.
これで文法的には正しいのですが、実は不自然です。
(△)Tomorrow will be our wedding anniversary. 

明日やってくる結婚記念日は、余程のことがない限り確定的な事実です。そこで、事実をそのまま伝えることができるのが「現在形」で、次のように話すのが自然です。
(○)Tomorrow is our wedding anniversary. 

未来であれば単純にwillを用いるとは限らないわけですね。
助動詞willを用いた時点で、主観が入り、100%の事実から可能性が下がります(どの助動詞を用いるかで実現度における自信の強弱が変化します)。

例えば、「明日は雨だ」と天気の話をする場合は、助動詞willを用いても自然です。
(◯)It will rain tomorrow.
(×)It rains tomorrow.

「天気の話」になると、天気ばかりは神のみぞ知る、不確定要素があります。あくまでも推測になるため現在形は誤りです。

さらには、根拠に基づく自信のある予測であればwill beではなくis going to rainを用います。
根拠のある予測 → It’s going to rain tomorrow.

時制や助動詞は場面の意識がとても重要ですね。

では続けてクイズを2つどうぞ。

Q. 2 次の状況を表す自然な英文を選びましょう。
「彼女の電話番号を忘れちゃった(もう思い出せない)」
(a)I forget her phone number.
(b)I’ve forgotten her phone number.
(c)I forgot her phone number.
Q. 3 自然な返答として正しいものを選びましょう。
Where is that coat?
―(a)I gave it to Yuka.
―(b)I gave Yuka the coat.

いかがでしょうか。
それでは答え合わせです。

Q.2
シンプルに考えると「忘れちゃった」なので「過去形」あるいは「現在完了形」と考えがちですが、実はもっとシンプルです。現在形を用いた英文(a)が正解です。
「彼女の電話番号を忘れちゃった(もう思い出せない)」
→(○)(a)I forget her phone number.
「忘れちゃった」というのは今も続く現在の状態で、大きく考えると日常的な感覚になりますので、現在形が自然です。

英文(b)の現在完了形 I’ve forgotten her phone number.(彼女の電話番号を忘れちゃった)は、日本語訳も同じで、文法的にも問題ありません。ただし、現在完了形の場合は、一時的に「ど忘れ」してしまっているだけで、あとで思い出せそうなニュアンスが含まれるため、今回の場面に合わず誤りです。

英文(c)の過去形 I forgot her phone number.(彼女の電話番号を忘れていた)は、「忘れていた」のはあくまでも「過去の話」になりますので、現在は「思い出している」というニュアンスが含まれますので、今回の場面には合いません

Q.3
正解は英文(a)です。
giveはSVO1O2文型(O1にO2を与える)で、「SVO+to+人」と言い換えることができますが、適当に言い換えてはいきません。文法的にできるだけであって、今回のように文脈的に不自然になる場合があります
語順変化でニュアンスがどう変わるのかに注目しましょう
文脈を無視して1文だけで考えれば、文法的にはどちらも正解です。
(○)(a)I gave it to Yuka.(私はそれをユカにあげた)
(○)(b)I gave Yuka the coat.(私はユカにそのコートをあげた)

では、何を基準に正解を決めるのかですが、「情報価値」に焦点を置きます。
英語には「文末焦点」の考え方があり、情報価値がより高いものを文末に置くというルールがあります。
今回の場面では、すでにコートは言及済みですから、どこにコートがあるのかを示すYukaが新情報で、より情報価値が高いYukaに焦点を置くために文末に置いた英文(a)が自然です。新しい「人物」の情報であるYukaが途中でサラッと出てしまうのは英語らしくありません。また、名詞の繰り返しを避けるのが英語ですので、名詞the coatは代名詞itで言い換えてしまうのも英語らしさです。

特にクイズ3は「談話能力」が問われる問題ですね。
談話能力とは、実際に会話をしている場面に合わせて、1文(単文)を自然な流れで適切につないでいくスキルです。中学生の息子にこういった類のことを学校で習っているのかを聞いても実際には習っていないようです(教わっていても意識するに至っていない可能性もありますが)。

日本語では低学年のうちから同級生、初対面、目上の先生など、自分が置かれた立場や状況の中での適切な言葉遣いについて、親からも教育を受けてきたはずです。同様に、英語を使う時も表面上の文法知識だけでいいはずがありません。今回のクイズで出たようなシチュエーションでも、相手の質問を受けた自然な反応があるはずですね。

英語は勉強ではなく「コミュニケーションツール」
最初の段階では1文を正しく書くことを重視するのもOKですが、英語学習の目的が最終的に意思疎通の手段を得るということであれば、相手を意識して会話を進めていく、この「談話能力」を身に付けることが重要になってきます

知識はそのままでは残念ながら運用力にはなりません。英文法を学習する際はぜひ次の3つを意識して進めていくとアウトプットスキルへと繋がっていくはずです。

・文型と品詞を確実にモノにする。
・英文法の使用目的を考える。
・例文のポイントを自分で説明する。

文型と品詞はいかにも英文法らしく、日常会話にかけ離れた単元にも思えますが、文型はネイティブの自然な発信方法であり、品詞は単語の使い方を効率的に教えてくれる単元です。どちらも学び方を工夫することで、会話力に直結する重要な単元です。

そして何をやるにも常に意識したいのは、なぜその文法を学習しているかです。実際にその文法を用いるシーンを想像し使用目的にこだわってください。また、人に説明できないものは基本的に自分のものになっていませんので、定着を狙う復習方法として、自分なりに学習した例文で使われている文法のポイントを口頭で言えるように仕上げていきましょう

英文法に限ったことではありませんが、
「どこで?」「いつ?」「誰が誰に?」「何のために?」「何を?」「どう伝える?」
この努力や意識がなければ英語力は向上しないと私は考えています。

オススメの英文法学習書2選

実際に話す、使うことを意識した解説とそのまま会話で用いることができる例文を中心にした英文法学習書を執筆したので、最後に挙げておきます。
「文法の知識を覚えるだけでなく、きちんと使えるようになりたい」と思っている方の学習に役立てていただけたら嬉しいです。

今回のクイズもこの2冊で扱っているポイントから出題しています。
英文法の学習を進めながら、それが運用力につながる仕掛け(解説と演習)が満載です。ご興味のある方はぜひ一度お試しください。

それでは、今回はこれで終わりにします。最後までお読みいただきありがとうございました。次回は第4回目、最終回です。


記事を書いた人:Evine(エビン)
本名、恵比須大輔。神戸在住。株式会社evinet biz代表取締役。Teaching Director
神戸と大阪で社会人向けの「やりなおし英語JUKU」と学生向けの「Evineの英語塾」を主宰。10代~80代まで幅広い世代の方を対象に、コア英文法を軸に、実際に使える英語・英会話指導に従事している。観光専門学校での「英文法&英会話クラス」や「TOEIC」クラス、教員向けセミナーなど多方面で活動実績がある。著書に、『Mr.Evineの中学英文法を修了するドリル』『Mr.Evineの中学英文法を修了するドリル2』、『Mr.Evineの中学英文法+αで「話せる」ドリル』、『完全攻略!英検準2級』『動画でわかる! Mr. Evineの中学英文法を修了するドリル』(アルク)、『7時間で中学英語をもう一度やり直す本』(あさ出版)など多数。その他、学校専売品『英文法総合問題集 ES(エス)【はじめて編】/【高校入門編】/【高校標準編】/【高校発展編】』(アルク)など著書多数。趣味は旅行と映画鑑賞。

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